「綾香、今日はお父さんに帰ってきてもらったから」
晩御飯の前にママが言った。
パパが家にいるのは久しぶりで、私が勉強をサボったから、ママがチクったんだと思った。
「綾香、あまりお母さんを困らせるんじゃないよ」
「……」
やっぱり……。
「それから、東城さんのことだが、来週食事をするから」
「えっ?」
もう会わなきゃいけないの……?
「なんだ?」
「ううん、分かった……」
「まぁ、一回食事をしたら、結婚まではふたりで自由に付き合いなさい」
「うん……」
食事を終えると、私は部屋に戻る。
そして少しすると哲平から携帯が鳴る。
「……はい」
「あっ、俺」
「うん……」
……言わなきゃ。
「なにかあったか?」
「あのね……」
『私、来週婚約者の人と会うよ』って。
「なに?」
「今日、家庭教師サボったから、ママに怒られちゃった」
「今日、家庭教師の日だったの?ちゃんと言えよ。ちゃんとしなきゃ、お前の親に反対されるだろ?」
「……そだよね。ごめん、ごめん」
「今度からちゃんと言えよ?」
「うん。お風呂入るから」
「おう。明日なっ!」
私は又、言えなかった……。



