「気持ちいいの?」
「あぁ」
私は言われた通り横になって、目を瞑ってみる。
川のせいで少し風が冷たくて、気持ちいい……。
「本当だ……」
横を見ると、大野哲平は気持ちよさそうに眠っていた。
私もなんだか眠くなる……。
「……。進藤」
「……ん?」
「おい、起きろよ」
「……うん」
目を覚ますと、大野哲平の顔がすごく近くにあった。
「なんで大野君がいるの?!」
「お前寝ぼけてんの?」
笑いながら、大野哲平が言う。
「あっ、そっかぁ……」
サボったんだ。
私……。
「あっ、哲平でいいよ」
「……哲平?」
「まさかお前、俺の名前知らないとか……?」
「知ってるよ」
「だよな?三年間同じクラスだもんな!」
三年間……?
「……そうだっけ?」
「おいおい……」
少し項垂れる哲平を見ると、可笑しくて笑いがでる。
「お前が笑ったとこ、初めて見た気がするわ」
「……?」
「せっかく綺麗なのに、いつも無表情で男はとっかえひっかえ。でも、猫には優しい。変な奴だな」
そう言って哲平は少し笑った。
「もう昼だし、弁当食いに学校に戻るか?」
「そうだね」



