「座れ」

俺は、言われるままにした。

「なんだよ」

「お前、一人暮らし、したいんだろ?」

「そうだけど、なんだよ」

「あの町に、なにか思い入れでもあるのか?」

「ここよりも向こうの方が、落ち着くし、友達だって、大事な人だっていんだよ」

すると親父は、急に黙りこんだ。

顔をあげたと思ったら、母の方を見て、二人は頷いていた。