『前言撤回。無理、行けない、帰ろう(泣)』
「永久!ここまで来て何言ってるのっ!早く扉開けてよっ。」
『うぅ(泣)』
あれから教室を出た私達は、すぐ屋上の前の扉までたどり着いた。
扉の向こうからは楽しそうな五木くんと、他の男子の声がする。
この様子では黒石くんもいそうだけど……………
「いい加減その子の事教えろよなー。いつも自分だけ美味そうな弁当食いやがってよ。ずるいだろ。」
「何がズルいだ馬鹿。」
「そうだよ田辺。あれは五木の愛妻弁当なんだから、ズルいのもしょうがない事だろ。悔しいなら田辺もいい人作りなさい。」
「おい、勝手に愛妻弁当にするな。」
「クロちゃんにそう言われちゃしょうがないなーっ!」
「何でそうなるんだよ。てか、前らいい加減静かに弁当食わせろ。」
「あら、黒石さん!五木さん家の夕くんついに反抗期かしらっ!」
何か凄く盛り上がってて、入りにくい空気なんですけど。
お弁当の話って事は、これは私の話なのかな……
確証は無いけど、今私が五木くんの所に行ったらややこしくなりそうだし……
それに、五木くんがお弁当を私が作ってるって言ってないって事は、言いたく無いってことなのかもしれない。
仲が良さそうな友達に言いたく無いって事なのかと思うと、少し複雑だった。
『雛、やっぱり日を改めて………。』
ガチャッ
「ていーっ!」
私が日を改めようと提案したと同時に、雛は屋上への扉を開けた。
『………………もう帰りたい(泣)』
どんどん五木くん達の方へと進んで行く雛の後ろで私は軽く泣きながらつぶやいた。
でも、開けちゃったもんはしょうがないし、あそこに雛だけ言ってしまったら取り巻きの子だと間違えられるかも知れない………
『行くしかないか………。』
私は雛の後を追う。
五木くんがいるところまで、あと少し。
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