『私の中での考えで、勝手に助言みたいな事しちゃってごめんね。』
「ううん、こっちこそ急に重たい話ししてごめん。永久ちゃんが言ってくれて、私は気付けた事もあるから、逆に有り難かった!」
尾長ちゃんはいつもの様な太陽みたいな暖かい笑顔で私に言う。
やっぱり、尾長ちゃんは強い。
さっきまで辛そうな顔をしてたのに、もう私にこんな笑顔を見せてくれる。
この切り替えの早さが、彼女の強さなのかもしれない………
ただ五木くんから女子の名前が出ただけで私は何を悩んでるんだか。
「そういえば、そろそろちゃん付け止めないっ?雛って呼んで!私も永久って呼ぶからっ!」
『いいの?ありがとうっ。』
突然の名前の呼び捨ての提案だったけど、私は嬉しかった。
私達の間の距離が、縮まってくような気がしたから。
『あ、気になってたんだけど。その男の子って誰なのっ?』
「えー、そこ聞きますー?どうしようかなっー?」
好奇心で誰なのか聞くと、雛は勿体ぶって中々答えてくれない。
さっきから、雛が好きになる様な子が気になってしょうがないのに。
ワザとそう言って焦らしてるんだ。
『もう、ここまで話して教えないつもりなのー?』
私は少し拗ねたかの様に言う。
「ふふふっ、ごめんてばっ。言うから機嫌直して?」
本気で拗ねてるわけではないのを分かってるからか、雛は笑いながら答えた。
私はちゃんと聞くために、雛の方に少し詰め寄る。
『はい、じゃあ教えて。』
「えっとね、隣のクラスの黒石 有史くんて言う人。」
黒石 有史………?
誰だろ、聞いた事ないな?
私は雛から聞いた名前を記憶の中で探す。
けど、思い当たる節はなかった。
隣のクラスとは言え、私はあまり遊びに行ったりとかはしないしな………
『へぇ……。黒石くんか。どんな子なの?』
「んー?髪は黒髪で、くせっ毛なの。背は170cmぐらいで、皆に優しくて頼られてるらしい。」
『らしいって………。』
「だって他の人から聞いた情報なんだもんっ。まだ話した事もないし。あっ、それとあだ名はクロちゃんって言うんだって。」
『…………………ん?』
クロちゃん?
それって、
五木くんが言ってたあの”クロちゃん”の事!?
『えぇ!!!クロちゃんて黒石くんの事だったの!?』
私は驚いて叫んでしまった。
すると、急に雛が目を輝かせながら私に迫る。
「え、ちょっと黒石くんと知り合いなのっ!?」
『いやいや違う違う違う!何というか、友達と話してるときに名前だけ聞いた事あって………。』
「何だぁ………。ん?友達ってもしかしてよく一緒に帰ってる五木くん?」
『あ、そうだよ。』
五木くんと帰ったりしてる事は、雛は知っている。
雛なら言いふらす事もしないだろうし、この前聞かれて話したばかりだった。
「黒石くん、五木くんと仲がいいらしいの。」
『…………なるほど。』
もう間違いないな”クロちゃん”は黒石くんの事だ………
雛の話を聞いて私は心の中で呟く。
あだ名でちゃんがついてるだけで、男子の事だったとは………
勝手に女子と思って悩んでいた自分が恥ずかしい。
「なるほど?」
『いや、気にしないで。こっちの話だから。』
「そう?ならいいけど。」
雛は不思議そうに言う。
流石に雛にもこの事は恥ずかしくて言う勇気がなかった。
「それはそうと、永久さんや。」
『はい、何でしょうか。』
1人でネガティヴモードに入っていると、雛がキラキラした目で私を見ながら聞いてきた。
何かやな予感がするんだけど………
「黒石くんは五木くんと仲がいい、その五木くんは永久と仲がいい。」
『まぁ仲はいい方だけど……。』
「そうなれば隣のクラスに永久が行って、私がついていっても問題はない。」
『ちょっとまって何故そうなった。』
私は思わずツッコミを入れる。
まさか………
「永久………。協力してくれるよねっ。」
捨てられた子犬の様な目で雛は私を見る。
そんな目で見られたら、断りきれないじゃないかっ(泣)
『…………はい(泣)』
「やたーっ!」
、
少し涙目な私とは裏腹に、雛は物凄く嬉しそうだった………
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