『ふぅ………。』
あの後すぐに教室に着いた私は、鞄の中の教科書を机に入れて辺りを見渡す。
周りはもうグループが出来ていて、ワイワイと楽しそうに話をしてる。
『そろそろ本格的にボッチ感やばいね。』
そう、私はまだクラスで友達がいない………
自分からあんまり話しかけに行く方では無いけれど、周りから少し誤解を受けているようで。
「姫野さん今日も窓を眺めてる。」
「物静かだけど、クールでいいよね。」
「でも多分1人が好きだろうし、少し話しかけ辛くない?」
などと言われていて……
入学してから、暇な時には窓を眺めながめていたせいか
"クールで物静かで1人が好き"
そんなイメージがついてしまった。
いや、もう全然話しかけてくれて構わないのに(泣)
私そんなに1人好きじゃないよ(泣)
とか心の中で言いながら、私は悲しみを埋めるように窓を眺めた。
その時、
「あっ!ねぇねぇねぇねぇねぇっ!」
『ぎゃあっ!!!』
突然勢いよく声をかけられ、驚いて叫び声を上げてしまった。
ザワザワッ
突然の叫び声に周りが騒めく………
『はっ!!!』
辺りを見渡すと、クラスの皆の目が私を見ていた。
ただでさえ普段から誤解されているのに、このままだともっとクラスから浮いてしまう………
私はそう思いながら弁解しようと何か言おうとするが、何も言葉が出てこない。
どうしてこうなるのか(泣)
「ごねんねっ!私が急に声をかけたからビックリさせたよね!!」
すると、話しかけてくれた子が申し訳なさそうに私に言ってきた。
『ううん、気にしないで………(泣)』
私は彼女にそう言った。
元々クラスで浮いている存在だったし、私が叫ばなければ良かったことで、彼女のせいではない事は分かっていた。
それに、半ば友達とか諦めかけてたから………
大丈夫だよっ(泣)
私は心の中で呟く。
「あっ、今私クラスの子達の連絡先聞いてて、良かったから教えてくれないかな?」
彼女は少しはにかんだ笑顔で私に笑いかける。
凄い、クラス連絡先聞いて回ってるんだ………
今時珍しい彼女の話に少し驚く。
見た感じ垢抜けてはいるけれど、文学少女的な印象も受ける。
ロングの黒髪で、背は私とあんまり変わらないようだけど凄く細身。
童顔で、少し話しただけでも分かる元気の良さと明るさ………
こんな子が友達とか沢山出来るんだろうな…………
ふとそんな事を思う。
『うん、いいよっ。ちょうどメモ帳があるからそれに書くね!電話番号とメールアドレスで大丈夫?』
「うん!大丈夫だよっ!あと、名前も書いててくれると嬉しいかなっ。」
『分かった、ちょっと待っててね。』
私はメモ帳に電話番号とメールアドレス、名前を書いてその子に渡した。
『はい、どうぞ。』
「ありがとう!姫野 永久ちゃんって言うんだっ。永久って珍しいねっ!」
『そうかな?よく言われるけどあんまり気にしたことないや。』
「私、尾長 雛[おなが ひな]って言うの。尾長とか雛とか、好きなふうに呼んでもらって構わないからっ!」
そういって彼女は満面の笑みで私を見る。
彼女が笑うと、つられて私も笑ってしまった。
キーンコーンカーンコーン……
せっかく穏やかな空気だったのに、授業が始まる時間になったのかチャイムが鳴った。
クラスの他の子達は自分の席に戻り始めてる。
「そろそろ私も自分の席に戻るねっ。連絡先ありがとう!」
『あっ、こちらこそ話しかけてくれてありがとうっ!』
また話そうねー!と尾長ちゃんは言いながら席に戻っていった。
そして1人になった私はふと思った。
『ん?これって、私クラスで初めて友達できたんじゃ………。』
欲しかった同じクラスの友達。
『尾長 雛ちゃんか………。また話せるかな。』
私はそう言いながら次の授業の準備をした。
.
