1.一瞬の出来事






4月の春………
それは出会いの季節と言うけれど、それは本当だと思う。





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「おはよ！」

「おはよ〜！昨日眠れた？私あんまり眠れなくて………」



桜が風に揺られて微かに散るのを窓から見る、周りでは入学式に浮かれた声が響いていた。

私、姫野永久[ひめの とわ]も、その浮かれている中の一人。


4月10日、今日はこの桜ヶ丘芸術高校の入学式。

山の上にあるこの高校は、全寮制の芸術専門高校。音楽科と美術科の２つの科に別れていて、全国の有名な大学に合格者が多数出るほどの名門校なのだ。


ちなみに私は美術科で、昔から絵だけが取り柄だったのが幸いしてこの高校に受かることができた。

だから今日の入学式は本当に楽しみで、昨日の夜は中々寝付けなかったから眠気が酷い。


『あっ、そろそろ体育館に行かないと。』


時計を見れば9時50分。
入学式は10時からで、新入生は5分前に体育館の入り口に集まるように言われている。


そういえば、私体育館の場所知らないや……


そう思って他の人について行こうと辺りを見渡すと、一人で色々と考えているうちに皆は先に行ってしまったみたいで………



『うそ………（泣）』


教室は私以外誰も居なくて静まり帰っている。

この高校は有名な大学への合格者が多い名門校。そのため設備や校舎も立派なわけで………




『私絶対体育館にたどり着けない気がする。』



大切な事なのでもう一度。

私絶対にたどり着けない気がする（泣）










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