それからというもの、料理上手らしい大地さん手作りの寄せ鍋が出てきて飲み会へと発展した。
6人分の笑い声は一晩中部屋に響いていた。
「ねぇ〜〜咲ちゃ」
「気持ち悪いです」
「もうつれないなぁ〜〜」
「料理上手とかすごいですね!」
「褒められると照れちゃうなぁ!莉子ちゃんは料理するの?」
「いえ!私はぜんっぜん!むしろ苦手で....」
「そうなの?じゃあ今度教えてあげよう!」
「…!ぜ、ぜひ!!」
(咲ちゃんも莉子ちゃんも楽しそうだな、)
2人ともなんやかんやで楽しそうにそれぞれで話していて少しホッとした。
「櫻木」
「は、はい!」
(声が…)
突然呼ばれて驚いたのか変な声が出てしまい、変な汗が出てきた。
「ハハッ、すまん驚かせた」
海斗さんは楽しそうな顔を浮かべながら私の隣に座った。
「いきなりで悪かったな、」
突然のその謝罪に少し驚いた。
「いえいえ!全然構いませんよ、逆に嬉しかったです…そのー…歌声に惚れちゃった?」
チラッと海斗さんの方へ目をやると、ビールを片手に固まっていた。
「いや、その、あの、だな、」
慌てふためくその姿は普段の印象とはまた違うものだった。この間のような可愛らしさを少し持ち始めた。
(…海斗さんってこういう一面もあるんだなぁ…)
海斗さんのギャップにしみじみしていると、
海斗さんがちらっと私を見て話始めた。
「文化祭の日…」
「え?」
「…初めて櫻木の声聞いたの文化祭の日だったんだ、」
(割と最近なんだな…)
「そうだったんですね、あの観客の中に居たなんて…」
「いや、俺は講堂の裏でサボってて、寝てたらお前の声が聞こえてきて…あの時は櫻木月子を知らないなんてあり得ない!って大地に言われた」
「大地さんらしいです…」
想像するだけでクスッと笑ってしまう。
「…私、海斗さんの歌声聴いたの今日が初めてじゃないです」
「へぇ……ってええ!?」
「えへへ……実はこの間公園の入り口で寝てたところを海斗さんが起こしてくれたことあったじゃないですか?」
「ああ、そういやそんなこと…ってもしや、」
「そうです、その前聴いてたんです、」
歌声が心地よくて寝てしまったなんて言えないけど…

