公園で聞いたメロディだ……
そう感じたのはすぐだった。
あの時と違うのは歌詞がついているところだった。
落ち着いたバラード調のメロディに、
優しい声。
暖かく包み込むような声。
それは海斗さんの声だった。
「どう月子ちゃん?いい曲でしょ?」
「…はい、とても」
つい、聞き入ってしまうほどいい曲だった。
「これを櫻木に歌ってほしい」
そう言ったのは海斗さんだった。
「えっ?私がですか?」
「これね、海斗がつくったの」
「…そうなんですか?」
大地さんにそう言われて驚いたけど、ああやっぱりと思う私がいた。
(公園で聞いたのもやっぱり海斗さんだったのか…)
「そりゃ月子にこんないい曲提供してくれるのは嬉しいんですけど……なぜまた月子に?」
咲ちゃんは迷いもなく海斗さんに問いかけた。
「あ!それはね、こいつが月子ちゃんの声に惚れちゃったんだよ」
「!?!?」
「…っ!ばか!何言って、!」
大地さんはサラッと言ったけど、
(な、なんか照れるんだけど…!)
「月子ちゃん顔真っ赤。タコみたい」