「ところで、海斗さんは?」
家にお邪魔してからというものの、海斗さん本人が見当たらない。
「あー海斗はね、今書いてるかな」
「かいてる?どういうことですか?」
書いてる、の意味がわからない私はそのまま大地さんに質問をした。
「うーんとね、話せば長いんだけどね、海斗は___「大地!」
突然、隣の部屋の襖が開いたそこには、海斗さんがいた。
「なんだよ、いまから説明しようとしたのに」
「櫻木来たら教えろって言っただろ!」
「だってー進みがいい感じだったし」
2人の会話はわからないことだらけだった。
(進みがいい、とか説明、とかなんの話…?)
「あーごめんな、3人とも、わざわざ来てもらったのにうるさくて」
「大丈夫です!」
「嶋さん以外は大丈夫です」
「咲ちゃん冷た〜い!」
この間の合コンよりも賑やかだ。
それぞれ仲良くなったのもあるんだろうな。
「それで、今日なんで月子を呼んだんですか?」
「今日はな、櫻木にお願いがあるんだ」
「お願い?ですか?」
海斗さんは真剣な表情で私を見る。
「とりあえず、3人ともこれ聞いてほしいかな」
そう言って嶋さんが取り出したのはラジカセだった。
CDをセットして再生ボタンを押した。
流れてきたのは、聞いたことあるメロディだった。