キーンコーンカーンコーン…



「いやーようやったわ、ほんま」

「…やりましたよ!」

「あんたやったら絶対大丈夫やって!」

沙良ちゃんにそう言われた。

少しやけど…

自信持っても、ええやんな?

「この後どっか行く?」

「うーん…あ、ごめん塾あるわー」

「は?イブやのに?」

「うん!ほなもう帰るわ!バイバーイ!」



タッタッ…



あれ…?

そういや教室で、凌ちゃん見てへん。

体育館ではボーッと寝ながらでもおったけど。

「あ、やばっ!遅刻する…」

靴箱がある角を曲がろうとした時。



…ガタッ



……あ…

凌ちゃんが靴箱におった。

「……」

私の手紙を見て、バッグに入れた。

「……」



カツカツ…



…受け取ってくれた。

ただそれだけでも嬉しかった。

「…フフッ」

冬休み、会ったら答え言われそう…。

「…会わんとこ、今年は…」

臆病者。

告白しといて、答えを聞くんが怖かった。



カチャッ



「…あれ…?凌ちゃん…」

「…お、おぅ!」

…会わへんって決めたばっかやのに。

たまにそう。

凌ちゃんは、勝手に部屋に上がって、私のベッドにおる。

「遅かったんやな」

「まあ…塾やから…」

…どないすれば…

全然凌ちゃんの顔見れへん…

「…座れば?」

「う、うん…」



ストンッ…



隣に座った。

「…何?どないしてん?大人しいやん?」

「そ、そうかな…」

そら手紙を凌ちゃんが持ってるって思ったら…あぁ…。

茶髪の髪を耳にかけ、私のCD棚とかを見てた。

「うわ、お前西野カナとか聴くんか?」

「え?ええやーん。西野カナ」

「重ない?俺無理やねん」

「凌ちゃんは夢がないなぁー…」

「それは、お前のスカートの中な」

は!?///

「集会の帰り、中に体操ズボン履いてるん丸見えやし」

どこに冒険してんねん。

…え?

「他の子のスカートは夢あるん!?」

「ねーわ。ガキのやつなんか…」

「…どーせガキですよー!」

出るとこ全然出てないし?

顔やって童顔やし…

ええとこないな、ほんま。

自分で思ってて、悲しなるわ。



プルルルッ…



「あ、ごめん」

「……」

凌ちゃんがベランダに出て話しだした。

「おぉ、ありさどしたん?」

…え?

女の人?

誰…

私の知らん人。

「おぉ?彼奴らも来るん?うんうん、分かった。ほなまた明日な?」



ピッ



…私の知らん凌ちゃん。

毎晩街に行ったり、タバコ吸ったりお酒飲んだり。

「……」

「…玲音、あの…さ、」

「ん?」

「…手紙、アレさ、ちょっと考えさせて?」

「…うん…」

「…ほな、帰るわー」



バタンッ



…あっ。

この時、少し思った。

漫画みたいに好きな人と付き合えるって、簡単なことちゃうんや…。

「……」

長い、長い冬休みが始まろうとしてた。