「…鯛を逃した気分」

なんて。

帰り道、一人で帰ってた。

…空くん、ええ人見つかってほしいわー…。

「あ。貧民女子、発見っ」



ビクッ



「りょ、凌ちゃん…」

バニラバーを食べながら帰ってきた凌ちゃん。

「あ、そだ。DVD新作借りてきたけどお前も一緒に観るか?」

「…うん」

「「ひゃあぁぁ!!!」」

…何でまた、ムードのないホラー映画。

凌ちゃんを見ると、隣で夢中に見ていた。

不意に、視線に気付いたのか、こっちを見た。

「ん?おもんない?」

「う、ううん」

「あー…気分ちゃうかった?」

「…うん」

別れたばっかやのに、凌ちゃんとすぐ一緒になるんはな…。

「なぁ?俺は…、いつでも待ってるから」

…え?

「あ、いや…下から飲みもん取ってくる」

「…う、うん」



バタンッ



あの時の凌ちゃんの言葉は、そういう意味やったんかな?