「あ、やっと来た。おせーよ。3分と24秒の遅刻。レッドカード!」

「100点満点で来たんやから許してーやー、笑」

「いつもやん、それー、笑」

帰りは2人で駅前で待ち合わせ。

空くんが噴水に腰掛けて待ってる。

「今日な?調理実習でマカロン作ったんやで!」

「え?俺、胃薬持ち合わせてないで…?」

「はぁー?毒入ってへんから!失礼やなー」

「ははっ。冗談やって、笑。いただきまーす」

何かを作ると、空くんは、こうやって美味しそうに食べてくれる。

全部食べた後に口元に付いてて、それを私が取ってあげる。

「あ、あのブランドのヤツ凌が好きな奴やん」

あ、ほんまや。

たまに付き合わされてたっけ…。

「凌ちゃんな?中学ん時お金ないからって3時間もあそこ居座ってたんやで?笑」

買えもせんのにずっと見てて。

結局店員さんが負けて半額で買えたんやっけ?

「…凌ってほんま変わらんな、笑」

「…あっ」

空くんとおるのに凌ちゃんの話…

「ええよ、笑。束縛とか全然せんから、俺」

ホッ。

やんな、空くんが束縛なんて、笑。

ガラちゃうし。

「なぁ?ジェラートの店、行かへんか?」

「うん!行く!」

ちょっとずつ、自分でも気付いてた。

ほんまは誰を好きなんかって、私も気付いてたんだ。

やけど、今私が過去の自分に戻ったらきっと…

ううん、絶対。

空くんは、こうやって笑ってくれん気がした。