「何でフッちゃたん!?ありささん、素敵な人やん!」

あんな可愛くて頭が良くて優しい人…

「まぁ、でも俺、他に好きな子が出来たから」

へ!?

好きな人!?

凌ちゃん…大胆やな…。

そっか…

…なら、ありささんフられるんも、しゃーないんかな…?

凌ちゃんに好かれる子かぁ…

沙羅さんよりも美人な人なんやろなー!

「なぁ?分かってる?お前なんやけど?」

「……ふぅぇっ?」

驚きすぎて変な声が出た。

わ、たし?

「え?じょ、冗談やめてやー、ははっ」

「冗談でこんな事言わんけど?」

え?

だ、だって…

だって…

凌ちゃんは、ありささんの事好きやから、私をフッたんやろ?

「俺、ありさとおる時、お前のこと無意識で考えてたんや」

「……」

「俺、お前のこと忘れるつもりで付き合ったのに、やっぱ無理やった。やっぱりお前が好きだ。そうやっと気付いた」

…や、めてや…。

今更…

「…今更…やん。やめてや」

今はもう何とも…

空くんのこと好きになろうとしてるのに…

「あぁ。分かってる。だから、もう自分の気持ちから逃げない。追いかけることにしたんだ、お前のことを」

「ちょっ、…私、もう好きな人おるんやで?」

ちょっと嘘やけど。

でも今更やんか…

「分かってるわ。だから、これからは全力で俺のこと振り向かせてみせんねん」

凌ちゃん…。

こんなに真面目な凌ちゃん、初めて見た気がした。



グイッ



「…何してるん?」

腕を引かれ、振り返ると空くんが袋を持っていた。

「そ、空くん…」

「玲音、たこ焼き買ったから行こか?」

私の腕を引いて、人混みに紛れた。

「空…余裕無いん、バレバレや」

なんて凌ちゃんがつぶやいてことは知らない。



カツカツ…



「…あ!ごめん…靴擦れとかしてない?」

「大丈夫!」

神社を出て、廉君の家の近くの公園に来た。

「…はー…何やってるんやろ、俺…笑」

「なぁ?空くん…。あのさ、」

「ん?何?」



ガサガサ…



巾着袋の中から、手紙を取り出した。

「これ、読んでくださいっ!」

頭を下げて空くんに渡した。

「え?手紙?俺宛てなん?」

「その…一生懸命考えて書いたから。空くんくん…私と付き合ってください!」

「…えっ?ほんま…??」

「うん!ほんま!」

空くんに渡したラブレター。

それは今までの思い出とか、なんか沢山のこと書いて…

「…俺、何も持ってないで?」

「え、5冠やん!5冠の永瀬空くん!」

「何やそれ、笑」

気が合う相談相手の男友達。

その人が私の初めての彼氏です。

「あつっ!」

「ははっ笑。フーフーせなあかんでー?」

「はーい…あ、タコ二個!」

「え、嘘??俺の入ってないんやけど」

「あははっ、笑」

頭の中は、空くんとの幸せでいっぱいやった。



カツカツ…



「ほな、おやすみ」

「うん、おやすみ」



チュッ



…へ?///

「…///あ、ご、ごめん!つい!玲音が可愛かったから…」

「う、うん…///」

空くんにおでこにチューされた…

一生おでこ洗わへんわー…←汚っ

「おやすみー」

そう言って手を振った。



ガチャッ



「え…何で?」

私の部屋でくつろぐ凌ちゃん。

「何ちゅー顔してんだよ。安心しろ、これ借りパクしてたから。返しに来ただけだ」



ボフッ



「え、ちょっ…」

DVDを私に返すと、凌ちゃんは、私のベッドに横になった。

ちょっと…

…凌ちゃんがここにおるん、久々やな。

「なぁ?空とキスしたんか??」

「はっ?えっ?なっ…︎///」

「…し、してなっ…///」

無意識にパッと前髪を隠した。

そしたら凌ちゃんはニヤッと笑った。

「ははっ、笑。わっかりやすいヤツだなー笑」

「チャラ男はさっさと帰りなさい!」

凌ちゃんの背中を押して部屋から追い出した。

「はいはい。なぁ?初めては俺がするから取っとけよ?」

振り返り、真剣な顔でそう言う凌ちゃん。

「あ、アホッ!」


ちょっとドキッとしたことは誰にも教えない。


バタンッ



付き合ってるのは、空くんやもん。

凌ちゃんなんか気にしたらあかん!

「…はぁ…」

凌ちゃんのアホー。

凌ちゃんなんかこれっぽっちも好きちゃうし。

…遅いし、ほんま。