スタッスタッ…



「…りょ、ちゃん…?」

凌ちゃんの歩幅に合わせて歩くと、少し転びそうになった。

「……」

無言で歩き続ける凌ちゃん。

勢いで店出て来て、あの2人を置いてきてしまった。

「…あぁ、ごめん…」

握ってた私の右手を離した。

「…ここって…」

ちょうどそばにあったのは、よく小さい頃に来てた駄菓子屋さん。



ぐぅー……



うかつにも、私のお腹が鳴った。

「ははっ。腹減ってんじゃん。…何か買えば?」



ストンッ



凌ちゃんは、店の前のベンチに座った。

「…おばちゃーん!」



ガラッ



お店の中に入ると、昔と変わらん光景。

いくつか駄菓子と、二本、ラムネを買った。



チリンチリーン…



「…凌ちゃん、はいっ」

凌ちゃんの隣に座って、ラムネを一本渡した。

「…おぅ。サンキュー」

…あれ?

何話したかったんやっけ。

「……凌ちゃん」

「…あぁ?」

「凌ちゃんに、私は見えてた?」

「…何言うてん?」

「…私さ、幼馴染って言葉にずっと甘えてたんだ。それで、ずっと言えなかった…」

「……」

幼馴染やったら嫌われもせんし。

気軽に話せるし、なんか信頼感あるし。

「…でも、やっぱり、凌ちゃんの彼女になりたいって思って…あの手紙書いたんだ」

「…あの手紙…?」

「…あの手紙は、全部ほんまのことやで……?」

「……」

「…あの時な?2人のこと見て、動揺してん。だからあんな事…」

好きな人の好きな人。

その人は、私が一番なりたい人。

「…怖かったんや、フラれるんが…」

でも結局、こんな関係になってしまった。

全部私のせい。

「…嘘ついてて、ごめん…あんな、凌ちゃんのこと、昔も今も大好きだよ!」

その時の笑顔は、無理やり作ったのか、自然に笑えたのか、どちらでもあって、どちらでもなかった。

「…ごめん」

…あっ。

フラれたんや、今。私。

…頑張ったんやけどなぁ…

「…俺も好きやった」

…今、凌ちゃん、なんて……?

「…中学ん時まで」

「…う、そ…」

凌ちゃんが、私のこと好きやった…?

「…そんで、ありさと付き合ったんも、お前の事忘れるためやった」

「…何で忘れるなんか…」

「…お前に俺は不釣り合いやと思ったから」

「そんなこと…」

「あるねん。俺みたいな不良と一緒におったら、お前が悪く思われるやろ?」

…そんなん関係ないやん。

凌ちゃんは凌ちゃんなんやし…

「でも…今はありさの事が好きや」

「…そっ、か…」

今、ちゃんとフラれたんや…。

「…玲音、ごめん」

「凌ちゃん、ありがとう。これからは…話しかけてもええ?」

「あぁ」

「あはは、笑。フラれたらなんかスッキリしたわー!」

「…あっそ」

あの日、手紙を破かれたあの時から今日までちゃんと好きでいてよかった。

また、普通に接せれる。

それだけで私は幸せ。