「…山下はまた早退か?」

「…?」

あ…。

…やってしまった。

人生初の"サボり"。

親に連絡行くんかなー…

「…元々凌ちゃんがわる…い…」

…私が悪いんやん。

冗談でも、あんなこと言わんかったらよかった。

「…はぁ…」

何やっとんやろ…



カツカツ…



「……」

とりあえずお腹が空いたから、クレープ片手にブラブラ街を歩いた。

あ、ここ沙良が好きって言うてたな。

「アクセサリー…」

沙良はバイトしてるからお金あるけど、私は、親が許してくれへんし…。

「いらっしゃいませー!」

店のショーウィンドウを見てると、中から店員のお兄さんが出てきた。

「よかったら中、見てってくださいよ!」

「え、あ…はい」

半ば強引に入ると、中には可愛らしいアクセサリーやジュエリーが並んでた。

その中でも目に入ったものがあった。

「かわええ…」

パステルピンクのハートのネックレス。

うわ〜欲しいなぁ…

…ぎゃ。

値札見て諦めました。

「君、可愛いから3割引しとこか?笑」

「い、いえ!」

「これ俺の手作り」

え!?

お兄さん天才や…。

「いや、嘘やけどな?」

……。

「お兄さん彼女おらんやろ?」

「アホ。俺は女には分け隔てなく接してんねん」

うわー…

イケメンやのになんか残念な人…。

「彼氏とか好きな人連れてまたおいでや」

「…はーい」



カツカツ…



お店の名刺だけ貰った。

…藤原…。

…好きな人か、恋人と、か…。

好きやけど…

彼女にはなれなさそうやし…笑。

もう行くことないかも。

「…16時か」

もう家帰っても大丈夫やんな?



カツ…カツ…



家までの道の白線を歩く。

…子供の頃からのなんか、癖?

「変な癖ー」

…あ。

白線の途切れた先に、沙良が待ってた。

「…ごめん。サボった」

「優等生でもサボるんやなー?」

ニヤニヤしながらそう言った。

…バレバレか。

「校内でめっちゃ話題。あんたが平野しばいたって」

しばっ…

まあ同じか。

「…私さ、…アホやんな、ほんま…」

あの日、もっと遅く帰ってればよかったんかな?

彼女とおるとこ見んかったら、私は勝手にフラれてたんかな?

「…好きになった奴が悪かったな」

に…それでも好きになったら、もうどうしようもないんやけどな、笑」