総長と女番長 ~ときどきお兄ちゃん~

私を離さない相手に、結城、キレちゃった。

人質に取ってた総長を始め、結城がほとんどを潰すとみんなで大乱闘。

私は一人傍観者。
中々お目にかかれない、暴走族同士の乱闘を生で観戦しながら、凄い迫力…とか呑気なことを思ってた。

そしたらいきなり腕を引っ張られ、そのまま抱き締められていた。


えっ、えぇーこの状況何?

抱き締めている主の顔を見ると、紛れもなく結城で、無事で良かった。とかすれるような声で呟いていた。

そして、私は結城が乗るバイクの後ろに乗ったのだった。

そして、いつもとは少し違う朝陽を迎えた。

家に帰り、シャワーを浴びて制服に着替えた私は、

何も言わずにお弁当を作ってくれたお母さんに、いつもありがとうと言って家を出た。


いつものように同じ学校に向かう生徒たちを横目に見ながら少し早足で学校に向かった。


昨日の結城は初めて見るかっこよさで、思い出すと思わず顔が赤くなりそうだった。

声をかけないでほしいーそう思ってたのに…結城はいつもと変わらず声をかけてきた。

おはようー


やめて…思い出したら恥ずかしい…

私は赤面している顔を隠すように、うつむきながら、早足で教室に向かった。

けど、結城はついてくるように、同じく早足で、私の横を歩いた。


教室に着いて、自分の席に座った。

いつもと変わらず結城は騒いでる…。

私は完璧にスルー。何も言わない。

結城も何か言ってくる様子はない。

俺の女だとかいったこと、ちゃんと説明してくれないかな~。

私の心臓はバクバクいっている。


落ち着けようと、深呼吸をしたが、中々収まってはくれない。

とりあえず、HomeRoomは受けた私だが、

一時間目 はサボり、屋上でタバコをふかした。

うっ~染みる。こーゆう時のタバコは染みるな~。なんてね。

二時間目は普通にとは言っても机に突っ伏して寝ているだけだが、受けた。
そうして、三時間目、四時間目と過ぎた。

私の大好きなランチの時間…。

ルンルン気分でお弁当の蓋を開けた。

なんかキャラ弁ぽくって可愛かった。思わず笑みがこぼれた。

メモが入ってた。

いつも美味しいって完食してくれてありがとう。毎日、文句言わずに学校にちゃんと行ってくれてありがとう。頑張ってるのちゃんとわかってるからねー


お母さんの暖かい文字と言葉に思わず涙が出そうになった。


そこに、どした?何泣いてんだよ!!と結城が来た。

私は必死で涙を拭いながら、食事を始めた。

で、何で泣いてたの?とひつこく聞いてくる。

あー、やっぱり、こーゆうとこがウザいんだよね… 。


何もないよ!!それより、昨日のアレ何なの?


いや、すまん、思わず口が滑ったんだよ。その方が守れるような気がしたし…けど、余計、目をつけられたかもしれない。
悪かったな。巻き込んで…


何それ!?結城らしいけど…

なんかすごく複雑…。


いっそのこと、好きだって素直に言いなさいよ!!そしたら考えてあげたのに…。

ダメダメ。私、何考えてるんだろう…。

私、もしかして…結城のこと好きになり始めてる!?

まさか、そんなわけないよね!!

私は無言で食事を続けた。

五時間目、久しぶりに食べたあとの体育。

思いきり体を動かした。そしたらあっという間に終わってしまった。

六時間目は自習だ。
ラッキー。タバコ!!と思いながら、教室を出た。

屋上に着いて、タバコをくわえた時、結城が来た。

えっ、結城も吸うの!?とか思いながら少し距離を取った。


何急に俺から離れようとしてんの?

と結城は近づいて来た。


うっ、来んなつーの!!

あんたが変なことを言うからだよ!!

変なことって?わかってるクセに…。

みんなの前であんな、俺の女だとか言って…どうせ、私の反応見て楽しみたかったんでしょ?

だから、違うって!!ゴメン。言い方悪かったよな。

ほら、教室に他のやつらいたし…。

なんの弁解だよ!と心の中で突っ込む私。


はーぁ、疲れるな~コイツ…。

かっこ良かったよ…。言ってやった。

嬉しそうに笑いやがって…ムカつく。


もうすぐ文化祭だね…

女装楽しみにしとくから。

俺だって…楽しみだよ、唯の特攻服。
って…何で唯?

何で呼び捨てしてんのよ?

あーやだ。ホントにやだ。

どうしよう…。それから会話が無くなった。


チャイムがなり、教室に戻った二人はHomeRoomを受けた。


放課後ー私はまだ帰らない。

結城は早々と帰っていった。そんな結城を見送りながら、私はボーッと椅子に座っている。


担任が入ってきたー

美山、まだ帰らないのかー

あーすいません、用は無いんっすけどね…

そうか。一言、言った担任は教壇につくと作業を始めた。

何してんすか?と私は言って教壇によった。


文化祭の準備…?

お前が番長として立つからな…色々と…と言われた。

ふーん。忙しいんだ…。

って私、文化祭の準備なんて、何もしてないよな?

手伝うことある?気づけば聞いていた。

いいのか?と少し驚いたように聞いてきた担任に笑いながら、

もちろん、どうせ、暇だし、私やることなからと言った。

そして、私と担任は二人で文化祭の資料作りをした。

しばらくして無事終えるとー

あー終わった。久しぶりに働いた気がするなんて言ってみた。

担任は笑ってた。


思いきって聞いてみた。

伝統行事についてと会長が作る特攻服について…。

詳しく教えてくれた。

生徒会が選んで作る特攻服は業者に頼むこともあるらしい。

けど、今回の会長は去年もものすごく立派な特攻服を作ったと話題になったらしい。

その人を見て、サイズ感、色を考えて美しく映えるものするのだと…。

アレを着たものはマジックのようにカッコよく輝くのだと…

それを聞いた私は楽しみで仕方なかった。

帰りますー先生に言うと、

送ろうか…?

なぜ先生が私を送ってくれるんですか?

かなり疑問。けど、お言葉に甘える。

今日は手伝ってくれてありがとうな。優しくて、頼りになる、うちの番長さん

とか言われてしまった。私は照れてしまった。

そして、私は担任に送ってもらい家に帰った。