家に帰ると、
「あー、ムカつくムカつくムカつくー!」

拳でボコボコと枕をたたきながら、先ほどの怒りを発散させていた。

彼の挑発に怒鳴らなかった自分を褒めたい。

我ながら大人の対応をした自分を褒めたい。

「あのクソチャラ男、世の中にいる全ての女が自分の思い通りになると思ってんじゃねーぞ!

このヤロー!」

バスンと、枕に怒りをぶつけた。

間違ってもクソチャラ男の思い通りになってたまるか!

あのクソチャラ男の思い通りになるくらいなら、舌を噛み切って死んだ方がずーっとマシだ!

「そもそも“まじめ人間”って、そりゃ私は27年間の人生で恋をしたこともなければ彼氏もいたこともありませんよ!

人生の大半をケータイ小説にだけ捧げてきましたよ!

その結果が等身大の恋愛を書いてください、ですよ!」

枕を床に放り投げると、ベッドのうえで大の字になった。