わたしはその人の全てが好きだった。 眉毛より少し下あたりで揃えた前髪、長いまつげ、白くて細長い足、さらさらとしたつやのある黒髪、汚れを知らないようなつぶらな瞳。 「みゆきっ」 はっとする。 危ない、見蕩れていた。 「お、おう、何かな」 「何かなって…もう閉校時間になるから一緒に帰ろうと思ったんだけど」 「ああ!もうそんな時間か!」 「そうだよー。ほら、急いで!」 ゆいは結構せっかちだ。 でも、そんなところも好きだ。 そう、わたしの片思いの相手は女の子だ。