次の日の放課後のこと。
ゆいはいつも通りわたしの教科室に来て、わたしはいつも通り彼女の質問に答えていた。
頭の中では昨日のあの子の言葉がぐるぐる回っていた。
「ゆい、本当に先生のことが好きなんです」
あの子はたしかにそう言っていた。
ゆいが私のことを好き?
今目の前にいるこの子が?
私がずっと片想いしてきた女の子が?
だとしたら……でも。
「先生」
はっとする。
気付くと彼女はもう問題を解き終えていた。
全問正解である。
本当にどうしてわざわざ毎日のようにこんな所に質問しに来ているのか分からない。
「…先生、大丈夫ですか。具合が悪いなら休んでください」
彼女は心配そうな顔をしてそう言った。
ダメだ。
心配させてどうする。
「大丈夫です。心配しないでください」
わたしはくるりと彼女に背を向けると、いつも通りの冷静な態度でそう言った。
わたしは彼女と話すとき、なるべく彼女を見ないようにしている。
一度見たら見蕩れてしまうから。
想いが爆発しそうになるから。
彼女は僕の太陽で。
あまりにも眩しくて。
近付くことも、見ることすら…危うい存在で。
