「お兄ちゃんは、ずっとベターハーフを探してるの?」
「……どうかな。ほんまにベターハーフなら、探さんでもわかるんちゃうんか?」
「わかるの?第一印象で?ビビッとくる?」
たたみかけるように質問した私に兄は苦笑した。
「それ、ただの一目惚れやん。容姿や好き嫌いは関係ないと思うけどな。」
私はますますわからなくなった。
好き嫌いは重要ちゃうん?
頭を抱える私に、兄は言った。
「俺もまだよくわからんけどな、幸せな恋愛とか結婚とかしてはる例から類推したら……そうやな~、一緒にいて楽な相手、って言うだけじゃ不充分かもしれへんな。ん~……」
兄はしばらく考えてから、
「……なりたい自分で居させてくれる相手……で、どうや?」
と言って、私にウインクした。
その言葉は、私の胸にストンと落ちた。
翌日、私は昼過ぎに起きた。
「夏休みやからって、昼夜逆転はあかんよ。」
母に窘められつつ、遅いブランチを取る。
「はぁい。……お兄ちゃんは?」
「義人は、ボランティア。」
へ?
「先週から、病院とか介護施設とか児童養護施設を回ってるみたいやわ。」
「どういう風の吹き回し?」
「さあ?でもあの子、誰にでも優しくできちゃうから、向いてるんちゃう?」
そういう問題かなあ?
ま、お兄ちゃんが留守ならしょうがない。
自力で行きますか。
私は手早く身支度を整えて出かける準備をした。
「由未、どこ行くん?恭匡(やすまさ)さまのとこちゃうやろね?」
母にそう聞かれたけど、私は適当にごまかして家を出た。
……ごまかしきれてないやろけど。
我が家から恭兄さまのお宅までは、車で20分ぐらいの距離だ。
最寄り駅から路面電車に乗ると、徒歩移動を入れて30分ちょっと。
立派な門の横の通用門からそっと入り、お庭の敷石を辿る。
緑が多くて太陽を遮っているうえ風が通るので、敷地の外と比べてかなり涼しい。
お庭に面したお座敷の御簾戸の隙間から、恭兄さまが筆をとってらっしゃるのが見えた。
……集中されてるようなので、邪魔しないようにお庭を進んだけど、タイミングよく顔を上げられた恭兄さまと、御簾戸越しに目が合う。
「いらっしゃい。」
心からうれしそうな優しい笑顔に……ときめいた。
「夕べは、ちゃんとご飯召し上がられました?それに、しっかり眠れはりました?」
上ずりそうな声を意識的に抑えてそう聞いた。
恭兄さまは、御簾戸を開けて沓脱ぎ石のところまで出てきて、私に手をさしのべた。
私はその手につかまって、縁側からお座敷に上がらせてもらった。
……うれしいけど恥ずかしくて恭兄さまの目が見られない……。
「……どうかな。ほんまにベターハーフなら、探さんでもわかるんちゃうんか?」
「わかるの?第一印象で?ビビッとくる?」
たたみかけるように質問した私に兄は苦笑した。
「それ、ただの一目惚れやん。容姿や好き嫌いは関係ないと思うけどな。」
私はますますわからなくなった。
好き嫌いは重要ちゃうん?
頭を抱える私に、兄は言った。
「俺もまだよくわからんけどな、幸せな恋愛とか結婚とかしてはる例から類推したら……そうやな~、一緒にいて楽な相手、って言うだけじゃ不充分かもしれへんな。ん~……」
兄はしばらく考えてから、
「……なりたい自分で居させてくれる相手……で、どうや?」
と言って、私にウインクした。
その言葉は、私の胸にストンと落ちた。
翌日、私は昼過ぎに起きた。
「夏休みやからって、昼夜逆転はあかんよ。」
母に窘められつつ、遅いブランチを取る。
「はぁい。……お兄ちゃんは?」
「義人は、ボランティア。」
へ?
「先週から、病院とか介護施設とか児童養護施設を回ってるみたいやわ。」
「どういう風の吹き回し?」
「さあ?でもあの子、誰にでも優しくできちゃうから、向いてるんちゃう?」
そういう問題かなあ?
ま、お兄ちゃんが留守ならしょうがない。
自力で行きますか。
私は手早く身支度を整えて出かける準備をした。
「由未、どこ行くん?恭匡(やすまさ)さまのとこちゃうやろね?」
母にそう聞かれたけど、私は適当にごまかして家を出た。
……ごまかしきれてないやろけど。
我が家から恭兄さまのお宅までは、車で20分ぐらいの距離だ。
最寄り駅から路面電車に乗ると、徒歩移動を入れて30分ちょっと。
立派な門の横の通用門からそっと入り、お庭の敷石を辿る。
緑が多くて太陽を遮っているうえ風が通るので、敷地の外と比べてかなり涼しい。
お庭に面したお座敷の御簾戸の隙間から、恭兄さまが筆をとってらっしゃるのが見えた。
……集中されてるようなので、邪魔しないようにお庭を進んだけど、タイミングよく顔を上げられた恭兄さまと、御簾戸越しに目が合う。
「いらっしゃい。」
心からうれしそうな優しい笑顔に……ときめいた。
「夕べは、ちゃんとご飯召し上がられました?それに、しっかり眠れはりました?」
上ずりそうな声を意識的に抑えてそう聞いた。
恭兄さまは、御簾戸を開けて沓脱ぎ石のところまで出てきて、私に手をさしのべた。
私はその手につかまって、縁側からお座敷に上がらせてもらった。
……うれしいけど恥ずかしくて恭兄さまの目が見られない……。



