でも、言われた私より、言った和也先輩の苦しみを強く感じた。
まるで血を吐くかのように、つらそうな響きだった。
「……うん。」
とても、責められなかった。
『……泣かんのか?』
和也先輩がとんちんかんなことを聞いてきた。
たぶん、私が泣いて責めるか縋(すが)るかと思ったんだろうな。
ちょっと苦笑してしまった。
「泣いてほしい?」
決して喧嘩を売っているわけではないのだが、ついそう言ってしまった。
『いや……』
和也先輩が戸惑っている。
「事情がわからないから、現実感、ない。理由を聞いてもいい?」
セフレと言っていたけど、やっぱり別れられなかったのかな……と、ぼんやり想像しながら尋ねてみた。
和也先輩は、少しためらっていたけれど、ため息をついて言った。
『……チア部の女が妊娠した。俺の子やと言っとー。産むそうや。』
さすがにそこまでは思っていなかったので、私は息を飲んだ。
『すまない。俺、由未が……』
和也先輩が、ひっそりと泣いている。
小さく低く嗚咽している。
……和也先輩なりに本気で私と向き合おうとしてくれてたのに、遊びが過ぎた……のかな。
あおいちゃんが言ってたっけ。
和也先輩、すぐに妊娠させてしまいそう、って。
ほんとにまあ……あおいちゃんってやっぱり天才なんだなあ……と、妙に納得した。
私は、こみ上げる笑いに身を任せた。
「猿。」
打ちひしがれている和也先輩に、嘲笑とひどい言葉を浴びせても、気が晴れることもなければ涙も出なかった。
「猿。……でも、好きやったよ、先輩。」
『……ああ、俺も、好きや。』
私は過去形で言ったのに、和也先輩は現在進行形で言った。
あかんよ、先輩。
妊娠させた女性に対して責任とるつもりなんやろ?
そういう先輩やから、好きになったのに。
今更、未練なんか見せんといて。
「大学、辞めるん?」
『……わからん。これからや。』
そうよね。
いくらJリーグから話来てるってゆーても、バリバリ推薦で入ってるんやもんね。
両家の実家との話し合いもあるやろし。
私は、これから和也先輩に待ち受ける幾多の困難を考えて、ため息をついた。
「幸せになってな。大変やろけど。」
『由未……』
今度は、盛大に嗚咽しだした和也先輩。
それを聞いてると、ますます私の心は落ち着いた。
「ほな、切るで。バイバイ、先輩。」
『……ごめ』
これ以上和也先輩の謝罪の言葉を聞きたくなくて、私は途中で電話を切った。
……はあっ。
ため息をついて、抱えた膝に頭をつける。
終わった……。
初恋、これにて、終了……か。
最後に期待した分、ちょっと、疲れちゃったな。
まるで血を吐くかのように、つらそうな響きだった。
「……うん。」
とても、責められなかった。
『……泣かんのか?』
和也先輩がとんちんかんなことを聞いてきた。
たぶん、私が泣いて責めるか縋(すが)るかと思ったんだろうな。
ちょっと苦笑してしまった。
「泣いてほしい?」
決して喧嘩を売っているわけではないのだが、ついそう言ってしまった。
『いや……』
和也先輩が戸惑っている。
「事情がわからないから、現実感、ない。理由を聞いてもいい?」
セフレと言っていたけど、やっぱり別れられなかったのかな……と、ぼんやり想像しながら尋ねてみた。
和也先輩は、少しためらっていたけれど、ため息をついて言った。
『……チア部の女が妊娠した。俺の子やと言っとー。産むそうや。』
さすがにそこまでは思っていなかったので、私は息を飲んだ。
『すまない。俺、由未が……』
和也先輩が、ひっそりと泣いている。
小さく低く嗚咽している。
……和也先輩なりに本気で私と向き合おうとしてくれてたのに、遊びが過ぎた……のかな。
あおいちゃんが言ってたっけ。
和也先輩、すぐに妊娠させてしまいそう、って。
ほんとにまあ……あおいちゃんってやっぱり天才なんだなあ……と、妙に納得した。
私は、こみ上げる笑いに身を任せた。
「猿。」
打ちひしがれている和也先輩に、嘲笑とひどい言葉を浴びせても、気が晴れることもなければ涙も出なかった。
「猿。……でも、好きやったよ、先輩。」
『……ああ、俺も、好きや。』
私は過去形で言ったのに、和也先輩は現在進行形で言った。
あかんよ、先輩。
妊娠させた女性に対して責任とるつもりなんやろ?
そういう先輩やから、好きになったのに。
今更、未練なんか見せんといて。
「大学、辞めるん?」
『……わからん。これからや。』
そうよね。
いくらJリーグから話来てるってゆーても、バリバリ推薦で入ってるんやもんね。
両家の実家との話し合いもあるやろし。
私は、これから和也先輩に待ち受ける幾多の困難を考えて、ため息をついた。
「幸せになってな。大変やろけど。」
『由未……』
今度は、盛大に嗚咽しだした和也先輩。
それを聞いてると、ますます私の心は落ち着いた。
「ほな、切るで。バイバイ、先輩。」
『……ごめ』
これ以上和也先輩の謝罪の言葉を聞きたくなくて、私は途中で電話を切った。
……はあっ。
ため息をついて、抱えた膝に頭をつける。
終わった……。
初恋、これにて、終了……か。
最後に期待した分、ちょっと、疲れちゃったな。



