ヒロインになれない!

和也先輩は、デザートはもちろん、ポットのお茶まで全て平らげた。

……最後は、椅子に座っているのに、なぜか立て膝をつきながら。

うーん……。

一口に、お行儀が悪い、とは言えない。
もしかしたら、ご両親のどちらかが外国の人なのかもしれないし。
例えば韓国なら、立て膝をつくのは、普通みたいやし。
……そう自分を納得させようとするのだが、私はやはりモヤモヤしていた。

昼食代は割り勘にしてもらおうと思ったが、和也先輩は払わせてくれなかった。
……サッカー三昧でアルバイトをする時間もない先輩に経済的な負担をかけさせたくない。
そうお願いしたが、和也先輩は首を振った。

「今日ぐらい、かっこつけさせてーな。あれ?ちょー、待って。」
和也先輩がポケットから携帯電話を出して、画面を見る。
しばらく見て、黙って携帯をポケットに戻す和也先輩。

「……大丈夫?」

「……ああ……」
そう言ったけれど、和也先輩は、そのままむっつりと口を閉じて黙って歩き出した。

私は慌てて追いかける。
しばらくそのまま歩いてたけど、和也先輩が立ち止まった。

「あ~~~!」
和也先輩がそう叫んで、頭をかきむしった。

びっくりして見てると、先輩が困った顔で振り向いた。
「ごめん、俺、用事できた。帰るわ。」

え?

「……あ……さっきの?メール?……じゃ、途中まで一緒に。」
そう言って、和也先輩の腕を取る。

すると、和也先輩は顔を歪めて私を引き寄せて、抱きしめた。
「ごめんな。やっと、会えたのに。」

私は、和也先輩の腕の中で言った。
「でも、また会えるから。今度はお弁当作って来ようかな?」

和也先輩の腕に力が入った。
うれしいけど、ちょっと苦しい。
「先輩?……行きたくない用事ですか?」

「ああ。ほっといて、由未を抱きたい。」

「!」

私は心の中で悶絶した。

和也先輩は、ふーっと息をついた。
「いや、それじゃ、卑怯やな。……身辺整理してくるわ。」

……え……。

「これから、女の人に会うん?」

和也先輩は、困った顔になった。

……会うんや。
どういう人?

「心配すんな。体だけの相手や。由未とつきあうって決めたから、きっぱり切ってくるから。」

体だけ……。
お子ちゃまな私は、何だか絶望的な気持ちになった。

「嫌。行かんといて。」
和也先輩に、ぎゅーっとしがみつく。

「大丈夫やから。ほんまに、好きでも何でもないから。」

……そんな相手とHしてるんや。

「でも、先輩、猿ってさっき言ったもん。会うたらHしてしまわはりそう……」
じんわりと浮かんでくる涙を振り払うように頭を振って、私はお願いした。

「じゃ、行く前に、私として!」