ヒロインになれない!

思わずそう言うてしまうほど、あおいちゃんもまた幸せそうな笑顔だ。

「せやし、言うとったやん?依存症やって。」
こっそりと私に耳打ちするあおいちゃんは、舌を出しておどけてみせて、頬を染めた。

普段から間違いなく美少女やのに、このキラキラは、何!?

ベンチ入りできない部員はもちろん、フィールドに向かうスタメンまでもがあおいちゃんの美しさに目を奪われるこの状況。

……当然、和也先輩も、ばつが悪そうな顔で気にして見ていた。
「……ったく、試合が始まるのに集中しろや……あおい、普段まったく練習に顔出してないんか?あいつら、免疫なさすぎだろ。」
頼之さんが、文句を言いながらようやく腰を下ろした。

「ん~?毎日ちゃうけど、見とーよ。なあ?由未ちゃん?」
あおいちゃんに振られて、私は苦笑した。

「うん。でも、私の目から見ても、今日のあおいちゃん、めっちゃ綺麗やから。」

すると頼之さんが、ふっと表情を柔らかくした。
「なるほど、あおいが懐くわけだ。由未ちゃん、いつもありがとう。このわがまま娘が嫌がらんと、いそいそと通学しとんのん、実は奇跡なんやで。由未ちゃんのおかげみたいやわ。これからも仲良くしたってな。」

……わがまま?
「あの、むしろ私がいつも助けてもらってばっかりなんですけど……」

私の言葉を聞いて、あおいちゃんは頼之さんに胸を張って見せて、ピースサインをした。

「はいはい。あおいにとっては造作ないくせに偉そうに。由未ちゃん、あおいは他人のために何かをすることはほとんどないけど、実はバリ役に立つから遠慮せんとこき使ってやって。」
頼之さんの言葉はちょっと不思議な気がした。

「あおいちゃん、優しいですよ?頭がいいことは何となくわかるけど……」

首をかしげながらそう言うと、頼之さんはあおいちゃんをちらっと見た。
2人はアイコンタクトをとり、うなずき合った。

おもむろに頼之さんが、口を開く。
「いい機会やし、言うとくな。あおいには天才て言われるレベルの記憶力と理解力があってな、それで小さい頃からいらん苦労してきたらしくて、人間が歪んでるんや。」

「ひどっ!そんな言い方ないわ!」
あおいちゃんが頬を膨らますと、頼之さんが抱っこしてた赤ちゃんが、きゃっきゃと喜んであおいちゃんに両手を伸ばした。

頼之さんは、赤ちゃんをあおいちゃんの顔のそばへと抱いたまま近づけた。
赤ちゃんが紅葉のような愛らしい小さな手で、あおいちゃんの頬をぺたぺたと触る。

……また、だ。

あおいちゃんから、キラキラした光がまばゆいばかりに出てる、気がする。

幸せオーラなのか、美人のキラキラなのか……。