東大のロゴの入った名刺には、名前と住所や電話番号、メールアドレスが入っている。
が、肝心の名前の読み方が……佐藤碧生と書いてあるけど……。
「佐藤……みどりお?って読んでいいんかな?」
そう聞くと、佐藤くんは、にやりと笑った。
「昔の少女漫画にそう読ませる登場人物がいたらしいね。俺は、あおい。」
「あおい!」
「そう呼んでくれたらいい。」
「……高校の時の友達に、同じ名前の女の子がいてん。せやし、呼びにくい。」
佐藤くんは、アメリカ人のように、表情と手振りをつけて肩をすくめた。
「どうでもいいよ。じゃ、碧生『くん』。」
……あおいちゃんと、あおいくん、か。
「わかった。碧生くん。3限は?」
「英語二列R。」
「あ、一緒!」
私がそう言うと、碧生くんは苦笑いした。
「ほんっとに、俺、眼中になかったんだな。取ってる講義、ほとんど全部かぶってるのに。」
……知らんかった。
碧生くんの言う通り、3限も、4限のも同じ講義だった。
当然のように隣に座る碧生くんのペースに乗せられ、私は少しずつ打ち解けていった。
「ほな、サークルに入ってるわけじゃないんや。」
「入ってないない。最初に教わった師匠の紹介で、今の師匠にお世話になってるから。」
講義が終わった後、そんな話をしながら裏門へと向かう。
「ロサンゼルスで?」
「いや、北海道。」
北海道!
「わ!ほな、恭兄さまと話合うかも。恭兄さまも北海道にいてはったん。」
「……寮と学校の往復しかしてなかったから、あまり詳しくはないけど。」
「ふうん?あ、いた!」
私は、恭兄さまの車に、ぶんぶん手を振った。
……いつもは、急いで駆け寄るだけなのに、碧生くんに多少影響されたか、テンションが上がっていたのかもしれない。
恭兄さまもまた、いつもと違って、わざわざ車を降りてきた。
……怪訝そうに、碧生くんを見ながら。
「佐藤くん、でしたね?昨日はお疲れ様でした。わざわざ、挨拶に出ていらしたのですか?」
恭兄さまの声に含まれた微妙な毒を気にする様子もなく、碧生くんは深々と頭を下げた。
「こんにちは!昨日は、お越しいただいて、ありがとうございました。師匠から、以後、天花寺さんを兄弟子と敬うよう、言われました!佐藤碧生です!よろしくお願いします!」
……一見チャラそうな若い男の子が、思った以上に礼儀正しいと、面食らう。
でも、恭兄さまは興味なさそうに、バッサリ!
「いや、僕はとっくに辞めた人間なので。では、これで。由未、帰るよ。」
つんつんモードの恭兄さまに手を引かれる。
が、肝心の名前の読み方が……佐藤碧生と書いてあるけど……。
「佐藤……みどりお?って読んでいいんかな?」
そう聞くと、佐藤くんは、にやりと笑った。
「昔の少女漫画にそう読ませる登場人物がいたらしいね。俺は、あおい。」
「あおい!」
「そう呼んでくれたらいい。」
「……高校の時の友達に、同じ名前の女の子がいてん。せやし、呼びにくい。」
佐藤くんは、アメリカ人のように、表情と手振りをつけて肩をすくめた。
「どうでもいいよ。じゃ、碧生『くん』。」
……あおいちゃんと、あおいくん、か。
「わかった。碧生くん。3限は?」
「英語二列R。」
「あ、一緒!」
私がそう言うと、碧生くんは苦笑いした。
「ほんっとに、俺、眼中になかったんだな。取ってる講義、ほとんど全部かぶってるのに。」
……知らんかった。
碧生くんの言う通り、3限も、4限のも同じ講義だった。
当然のように隣に座る碧生くんのペースに乗せられ、私は少しずつ打ち解けていった。
「ほな、サークルに入ってるわけじゃないんや。」
「入ってないない。最初に教わった師匠の紹介で、今の師匠にお世話になってるから。」
講義が終わった後、そんな話をしながら裏門へと向かう。
「ロサンゼルスで?」
「いや、北海道。」
北海道!
「わ!ほな、恭兄さまと話合うかも。恭兄さまも北海道にいてはったん。」
「……寮と学校の往復しかしてなかったから、あまり詳しくはないけど。」
「ふうん?あ、いた!」
私は、恭兄さまの車に、ぶんぶん手を振った。
……いつもは、急いで駆け寄るだけなのに、碧生くんに多少影響されたか、テンションが上がっていたのかもしれない。
恭兄さまもまた、いつもと違って、わざわざ車を降りてきた。
……怪訝そうに、碧生くんを見ながら。
「佐藤くん、でしたね?昨日はお疲れ様でした。わざわざ、挨拶に出ていらしたのですか?」
恭兄さまの声に含まれた微妙な毒を気にする様子もなく、碧生くんは深々と頭を下げた。
「こんにちは!昨日は、お越しいただいて、ありがとうございました。師匠から、以後、天花寺さんを兄弟子と敬うよう、言われました!佐藤碧生です!よろしくお願いします!」
……一見チャラそうな若い男の子が、思った以上に礼儀正しいと、面食らう。
でも、恭兄さまは興味なさそうに、バッサリ!
「いや、僕はとっくに辞めた人間なので。では、これで。由未、帰るよ。」
つんつんモードの恭兄さまに手を引かれる。



