「桜、ねえ。虫つくで?……恭兄さま、桜がお好き?」
「うん?まあ、綺麗だとは思うけど。僕は、梅が好きかな。」
「梅……実がなるから?」
「実も魅力的だけど、梅はまず香りがいいでしょ?それに、木の姿形も美しいし、咲いた時の空間美が好きだな。情緒があって。」
「木の花は、濃きも薄きも紅梅?」
「清少納言はそう言ったけど、僕は白梅も好きだよ。由未ちゃんは?どんな木が好き?」
「……木瓜(ぼけ)」
そう言うと、恭兄さまは小さく笑った。
「ふふっ……似合うね。」
「私が、『ボケ』やと言いたいんですか?」
ちょっとム~ッとしてそう言うと、恭兄さまは首を振った。
「違うよ。すごく鮮やかな色で咲くでしょ?とても華やかで綺麗だ。それに枝は、棘(とげ)だらけ。」
恭兄さまは、ニコニコとそう言った。
結納の前日、結局、恭兄さまと2人で京都に帰宅した。
……この4日間を私は恭兄さまの傍らで過ごし、思う存分質問攻めにした。
恭兄さまは、本当に植木屋さんにお願いして、庭の一角に白梅と木瓜を植えた。
梅はもう散ったけど、木瓜はまだ鮮やかに咲き誇り美しい。
そして、デパートの外商さんが「大学生がしててもおかしくないデザインのアクセサリー」をいっぱい持ってきた。
その中から、ブランドのロゴが売りのようなものは省いて、恭兄さまは全て買い上げた!
……確かに宝石は小さいものしかついてないし、かわいいものばかりだけど……外商さんが持ってきたものは全てプラチナと18金……値札を付けてこなかったのは私に気を遣わせないためなんだろうけど……うーん。
「でも、ミキモトが多いのは、なんで?」
新幹線の中で、いつものように恭兄さまが私の手を取り、右指に付けた真新しい指輪に目を落とす。
「信頼できるから。皇室御用達の歴史があるから。それからどのデザインも品がいいから。」
今回私がつけてきたものは、けっこう大きめのデザインで、LOVEの文字と葉っぱをかたどったホワイトベースにピンクゴールドの花びらと真珠の花芯の野薔薇があしらわれている。
確かにこれだけのものを詰め込んでこのかわいらしさはすごいかも。
お揃いのネックレスは、くどくなるのでやめた。
新幹線を降りると、父の秘書の原さんが待っていてくれた。
「あれ?お父さんは?忙しいんですか?」
「……社長なりに気を遣ってらっしゃるんですよ。」
その時は意味がわからなかったのだが、車に案内される時に納得した。
原さんは助手席に座るから、私達は後部座席に並んで座れるのだ。
昨夏、私が助手席でしょんぼりしていたことを、父の運転手の井上さんが進言してくれたらしい。
つくづく我ながら子供だなあと思いつつ、みんなの気遣いがうれしかった。
「うん?まあ、綺麗だとは思うけど。僕は、梅が好きかな。」
「梅……実がなるから?」
「実も魅力的だけど、梅はまず香りがいいでしょ?それに、木の姿形も美しいし、咲いた時の空間美が好きだな。情緒があって。」
「木の花は、濃きも薄きも紅梅?」
「清少納言はそう言ったけど、僕は白梅も好きだよ。由未ちゃんは?どんな木が好き?」
「……木瓜(ぼけ)」
そう言うと、恭兄さまは小さく笑った。
「ふふっ……似合うね。」
「私が、『ボケ』やと言いたいんですか?」
ちょっとム~ッとしてそう言うと、恭兄さまは首を振った。
「違うよ。すごく鮮やかな色で咲くでしょ?とても華やかで綺麗だ。それに枝は、棘(とげ)だらけ。」
恭兄さまは、ニコニコとそう言った。
結納の前日、結局、恭兄さまと2人で京都に帰宅した。
……この4日間を私は恭兄さまの傍らで過ごし、思う存分質問攻めにした。
恭兄さまは、本当に植木屋さんにお願いして、庭の一角に白梅と木瓜を植えた。
梅はもう散ったけど、木瓜はまだ鮮やかに咲き誇り美しい。
そして、デパートの外商さんが「大学生がしててもおかしくないデザインのアクセサリー」をいっぱい持ってきた。
その中から、ブランドのロゴが売りのようなものは省いて、恭兄さまは全て買い上げた!
……確かに宝石は小さいものしかついてないし、かわいいものばかりだけど……外商さんが持ってきたものは全てプラチナと18金……値札を付けてこなかったのは私に気を遣わせないためなんだろうけど……うーん。
「でも、ミキモトが多いのは、なんで?」
新幹線の中で、いつものように恭兄さまが私の手を取り、右指に付けた真新しい指輪に目を落とす。
「信頼できるから。皇室御用達の歴史があるから。それからどのデザインも品がいいから。」
今回私がつけてきたものは、けっこう大きめのデザインで、LOVEの文字と葉っぱをかたどったホワイトベースにピンクゴールドの花びらと真珠の花芯の野薔薇があしらわれている。
確かにこれだけのものを詰め込んでこのかわいらしさはすごいかも。
お揃いのネックレスは、くどくなるのでやめた。
新幹線を降りると、父の秘書の原さんが待っていてくれた。
「あれ?お父さんは?忙しいんですか?」
「……社長なりに気を遣ってらっしゃるんですよ。」
その時は意味がわからなかったのだが、車に案内される時に納得した。
原さんは助手席に座るから、私達は後部座席に並んで座れるのだ。
昨夏、私が助手席でしょんぼりしていたことを、父の運転手の井上さんが進言してくれたらしい。
つくづく我ながら子供だなあと思いつつ、みんなの気遣いがうれしかった。



