遠くで玄関チャイムが鳴った。
「噂をすれば、お兄ちゃん着いたみたい。」
恭兄さまがカウチから立ち上がり、私に手をさしのべた。
「行こうか。」
私は恭兄さまの手をとって立たせてもらい、サンルームを後にした。
玄関ホールでは、静稀さんが舞のお稽古を中断して、兄を迎えてくれていた。
「お兄ちゃ~ん!恭兄さまがいじめるの~!」
私はそう言いながら兄の腕にしがみついて、恭兄さまから隠れた。
兄は、めっ!と怒ってみせた。
「こ~ら!由未!人騒がせなことしでかして。甘えても誤魔化せへんで。」
「……ごめんなさぁい。」
「仲直りしたんか?」
「うん。」
「ほんなら、よかったな。」
「うん。ありがとう。」
兄妹の簡単なやりとりに、恭兄さまは苦笑いしていた。
「義人くん……もっと怒ってくれるとありがたいんだけど……」
でも兄は、私の手にぽんぽんと自分の手を重ねながら、恭兄さまに言った。
「ダメですよ。俺は無条件で由未の味方ですから。恭匡(やすまさ)さんに落ち度があろうがなかろうが、由未が悪かろうが関係なく。妹が笑顔でいてくれたらそれでいいんです。」
お兄ちゃん、かっこいい!
私は兄の腕に顔をすりすりとこすりつけて甘えた。
「ま、仲直りしたんやったら、ええんちゃうか?とりあえず、セルジュのおる部屋へ移動してくれっか?高遠くんのお稽古中やから。」
彩乃さんに玄関ホールから追い出されて、私は兄の腕にしがみついたまま応接室へと移動した。
恭兄さまは、少しむっつりしていた……兄に焼き餅を焼いているのは明白で、私はちょっと楽しんでいた。
「セルジュ~、おはよ。由未が世話になったな。ありがとうな!ほら、由未もお礼、言うて。」
兄に促され、私は頭を下げた。
「ご迷惑をおかけしました。ごめんなさい。ありがとう。」
「……まったく。由未が増長するのは、義人が甘過ぎるんだよな。天花寺さん、これからも大変ですよ。」
セルジュは恭兄さまに同情的だった。
恭兄さまは苦笑いしていた。
「うちの庭にも、桜を植えようか。」
帰りの新幹線の中で、恭兄さまが私の手をもて遊びながらそう言った。
あの後、兄の車で新神戸駅へ送ってもらって、私達は帰路に就いた。
結納まであと5日。
そもそも結納のこともよくわかってない私は、これから恭兄さまにきっちり教えてもらうつもりだ。
「噂をすれば、お兄ちゃん着いたみたい。」
恭兄さまがカウチから立ち上がり、私に手をさしのべた。
「行こうか。」
私は恭兄さまの手をとって立たせてもらい、サンルームを後にした。
玄関ホールでは、静稀さんが舞のお稽古を中断して、兄を迎えてくれていた。
「お兄ちゃ~ん!恭兄さまがいじめるの~!」
私はそう言いながら兄の腕にしがみついて、恭兄さまから隠れた。
兄は、めっ!と怒ってみせた。
「こ~ら!由未!人騒がせなことしでかして。甘えても誤魔化せへんで。」
「……ごめんなさぁい。」
「仲直りしたんか?」
「うん。」
「ほんなら、よかったな。」
「うん。ありがとう。」
兄妹の簡単なやりとりに、恭兄さまは苦笑いしていた。
「義人くん……もっと怒ってくれるとありがたいんだけど……」
でも兄は、私の手にぽんぽんと自分の手を重ねながら、恭兄さまに言った。
「ダメですよ。俺は無条件で由未の味方ですから。恭匡(やすまさ)さんに落ち度があろうがなかろうが、由未が悪かろうが関係なく。妹が笑顔でいてくれたらそれでいいんです。」
お兄ちゃん、かっこいい!
私は兄の腕に顔をすりすりとこすりつけて甘えた。
「ま、仲直りしたんやったら、ええんちゃうか?とりあえず、セルジュのおる部屋へ移動してくれっか?高遠くんのお稽古中やから。」
彩乃さんに玄関ホールから追い出されて、私は兄の腕にしがみついたまま応接室へと移動した。
恭兄さまは、少しむっつりしていた……兄に焼き餅を焼いているのは明白で、私はちょっと楽しんでいた。
「セルジュ~、おはよ。由未が世話になったな。ありがとうな!ほら、由未もお礼、言うて。」
兄に促され、私は頭を下げた。
「ご迷惑をおかけしました。ごめんなさい。ありがとう。」
「……まったく。由未が増長するのは、義人が甘過ぎるんだよな。天花寺さん、これからも大変ですよ。」
セルジュは恭兄さまに同情的だった。
恭兄さまは苦笑いしていた。
「うちの庭にも、桜を植えようか。」
帰りの新幹線の中で、恭兄さまが私の手をもて遊びながらそう言った。
あの後、兄の車で新神戸駅へ送ってもらって、私達は帰路に就いた。
結納まであと5日。
そもそも結納のこともよくわかってない私は、これから恭兄さまにきっちり教えてもらうつもりだ。



