銀色のスカイラインR34。
……10年以上前の車だ。
亡きお父さまとお母さまが「ケンとメリーのスカイライン」、さらにおじいさまは天皇陛下の愛車であらせられた「スカイライン1900」……と、代々スカイラインにこだわってらっしゃるらしい。
まあ、外車じゃなく国産車、それも日産にこだわるあたりが、恭兄さまのお家らしいといえば、らしいのかもしれない。
ただ、現在のスカイラインは、別のコンセプトの車に名前だけとってつけたようで嫌いらしい。
かと言って、GT-Rは恭兄さまにはやんちゃすぎる、そうだ(笑)
……私は、恭兄さまが次にどの車種を選ぶのか、実はけっこう楽しみにしていたりする。
もしかしたら、この「スカG」にこだわり続けてメンテの部品がなくなるまで乗らはるかもしれないけど。
「兄がニュースを見て電話かけてきはってんけど、出られへんかってん。」
車に乗り込んですぐ、私は恭兄さまにそう言った。
恭兄さまは、車を発進させた。
「……義人くん、勘いいし洞察力あるもんねえ。僕のところにも電話かかってきたよ。『妹を守ってください』って」
恭兄さまが苦笑いした。
「怖っ!どこまで知っててゆーてるんか知らんけど、怖過ぎる。」
私は、恭兄さまの肩にもたれた。
「まあ、言いたくないことは言わなくてもいいんじゃない?そういう機微もちゃんと察してくれる人だし、義人くん。」
「……あとで、バレへん?お兄ちゃんだけじゃなくて。誰にも。データ流出とかしたら……」
怯える私の手を握って、恭兄さまは言った。
「そんなヘマはしない。端末も記録媒体も、もちろんアップロード済のデータも確認した。本当は脳の中まで消してやりたいけど。」
いつの間に!
てか、やっぱり黒幕なんですか!?
なにより、そーゆーデータって……あったん?
私は聞きたいことがいっぱいありすぎて、逆に黙ってしまった。
頭がわーっとパニクってきて、呼吸が乱れた。
……後遺症の発作、なのだろうか。
私の様子が明らかにおかしいことに気づいた恭兄さまが車を停めた。
「由未ちゃん?」
苦しい。
息ができない。
いっぱい息を吸ってるのに苦しくて苦しくてたまらない。
涙がぼろぼろ流れる。
胸が圧迫されてるかのように、苦しい。
大きく上下する私の肩を、恭兄さまが体で押さえ込むように抱きしめた。
「大丈夫。すぐ楽になる。息を吐くんだ。吸わなくていい。吐いて、吐いて、吐いて。」
恭兄さまに耳元で何度もそう言われた。
……10年以上前の車だ。
亡きお父さまとお母さまが「ケンとメリーのスカイライン」、さらにおじいさまは天皇陛下の愛車であらせられた「スカイライン1900」……と、代々スカイラインにこだわってらっしゃるらしい。
まあ、外車じゃなく国産車、それも日産にこだわるあたりが、恭兄さまのお家らしいといえば、らしいのかもしれない。
ただ、現在のスカイラインは、別のコンセプトの車に名前だけとってつけたようで嫌いらしい。
かと言って、GT-Rは恭兄さまにはやんちゃすぎる、そうだ(笑)
……私は、恭兄さまが次にどの車種を選ぶのか、実はけっこう楽しみにしていたりする。
もしかしたら、この「スカG」にこだわり続けてメンテの部品がなくなるまで乗らはるかもしれないけど。
「兄がニュースを見て電話かけてきはってんけど、出られへんかってん。」
車に乗り込んですぐ、私は恭兄さまにそう言った。
恭兄さまは、車を発進させた。
「……義人くん、勘いいし洞察力あるもんねえ。僕のところにも電話かかってきたよ。『妹を守ってください』って」
恭兄さまが苦笑いした。
「怖っ!どこまで知っててゆーてるんか知らんけど、怖過ぎる。」
私は、恭兄さまの肩にもたれた。
「まあ、言いたくないことは言わなくてもいいんじゃない?そういう機微もちゃんと察してくれる人だし、義人くん。」
「……あとで、バレへん?お兄ちゃんだけじゃなくて。誰にも。データ流出とかしたら……」
怯える私の手を握って、恭兄さまは言った。
「そんなヘマはしない。端末も記録媒体も、もちろんアップロード済のデータも確認した。本当は脳の中まで消してやりたいけど。」
いつの間に!
てか、やっぱり黒幕なんですか!?
なにより、そーゆーデータって……あったん?
私は聞きたいことがいっぱいありすぎて、逆に黙ってしまった。
頭がわーっとパニクってきて、呼吸が乱れた。
……後遺症の発作、なのだろうか。
私の様子が明らかにおかしいことに気づいた恭兄さまが車を停めた。
「由未ちゃん?」
苦しい。
息ができない。
いっぱい息を吸ってるのに苦しくて苦しくてたまらない。
涙がぼろぼろ流れる。
胸が圧迫されてるかのように、苦しい。
大きく上下する私の肩を、恭兄さまが体で押さえ込むように抱きしめた。
「大丈夫。すぐ楽になる。息を吐くんだ。吸わなくていい。吐いて、吐いて、吐いて。」
恭兄さまに耳元で何度もそう言われた。



