「ん〜、私もそんなにイイ子じゃなかったみたい。毒を食らわば皿まで?」
たぶん今までイイ子でいられたのは、たいしたトラブルに巻き込まれたこともなかったから、なのかもしれない。
極限状態に置かれた私は、自分で思ってた以上に凶暴だった。
絶望に打ちひしがれて泣いて助けを待つお姫さまではなかった。
「意外と、割れ鍋に綴じ蓋、なのかも。」
自嘲的な私の言葉に、知織ちゃんは静かに耳を傾けていた。
「殺したいと思って暴れたくせに、私、後から怖くなってんか。」
震える私の手を、知織ちゃんが握ってくれた。
「そしたら、恭兄さま、私の代わりに殺してあげる、って。この現代の日本で、そんなこと言うたらあかんでしょ?」
そう言いながらも、私は笑っていた。
「……本気でそんなこと言えるんよね、恭兄さま。」
知織ちゃんは、私の手を放して、ぱたぱたと手で扇いだ。
「あついあついわ。ま、『恋という狂気こそはまさにこよなき幸いのために神々から授けられる』やしね。本人同士がよければそれでいいんよ。」
離れてた2年の間に知織ちゃんは以前より柔軟になったとは思っていたけど、知織ちゃんこそ倫理観が変わった気がする。
「知織ちゃんも……一条さん?倫理観おかしかった?」
恐る恐るそう聞くと、知織ちゃんは困ったように笑った。
「まあ、今は『アーティスト』とか『ミュージシャン』って呼ばれてても、昔は『ロックンローラー』で『ロッカー』で『ハードロッカー』やったしね。そりゃもう、非道の限りを尽くしてきはったみたいやわ。隠し子は居なくても、暎(はゆる)さん自身も知らん実の子が何人もいるかもしれんね。覚悟しな、しゃあないやん?」
……マジ?
なんか、次元が違う。
芸能人って、大変なんや。
呆気にとられる私に、知織ちゃんは手を振った。
「私のことはいいから!恭匡さんに連絡しぃ。早く迎えに来てもらうように。」
そう言って、知織ちゃんは先に出た。
……もしかしたら実の子が既に何人もいるかもしれない一条さんと束の間のrendez-vous(ランデヴー)へ。
恭兄さまに電話をすると、今日は早めに出たらしい。
「もうすぐ着くよ。」
「……お待ちしてます。」
「ん?もうニュース聞いた?」
「うん。」
私の声のトーンの低さに、恭兄さまの声が柔らかくなる。
「大丈夫だよ。心配しなくていいから。」
……てことは、本当に恭兄さまが画策した?
「とにかく待ってる。相談もあるねん。」
「……着いたよ。」
窓の外を見ると、恭兄さまの車がすぐ前に停まっていた。
たぶん今までイイ子でいられたのは、たいしたトラブルに巻き込まれたこともなかったから、なのかもしれない。
極限状態に置かれた私は、自分で思ってた以上に凶暴だった。
絶望に打ちひしがれて泣いて助けを待つお姫さまではなかった。
「意外と、割れ鍋に綴じ蓋、なのかも。」
自嘲的な私の言葉に、知織ちゃんは静かに耳を傾けていた。
「殺したいと思って暴れたくせに、私、後から怖くなってんか。」
震える私の手を、知織ちゃんが握ってくれた。
「そしたら、恭兄さま、私の代わりに殺してあげる、って。この現代の日本で、そんなこと言うたらあかんでしょ?」
そう言いながらも、私は笑っていた。
「……本気でそんなこと言えるんよね、恭兄さま。」
知織ちゃんは、私の手を放して、ぱたぱたと手で扇いだ。
「あついあついわ。ま、『恋という狂気こそはまさにこよなき幸いのために神々から授けられる』やしね。本人同士がよければそれでいいんよ。」
離れてた2年の間に知織ちゃんは以前より柔軟になったとは思っていたけど、知織ちゃんこそ倫理観が変わった気がする。
「知織ちゃんも……一条さん?倫理観おかしかった?」
恐る恐るそう聞くと、知織ちゃんは困ったように笑った。
「まあ、今は『アーティスト』とか『ミュージシャン』って呼ばれてても、昔は『ロックンローラー』で『ロッカー』で『ハードロッカー』やったしね。そりゃもう、非道の限りを尽くしてきはったみたいやわ。隠し子は居なくても、暎(はゆる)さん自身も知らん実の子が何人もいるかもしれんね。覚悟しな、しゃあないやん?」
……マジ?
なんか、次元が違う。
芸能人って、大変なんや。
呆気にとられる私に、知織ちゃんは手を振った。
「私のことはいいから!恭匡さんに連絡しぃ。早く迎えに来てもらうように。」
そう言って、知織ちゃんは先に出た。
……もしかしたら実の子が既に何人もいるかもしれない一条さんと束の間のrendez-vous(ランデヴー)へ。
恭兄さまに電話をすると、今日は早めに出たらしい。
「もうすぐ着くよ。」
「……お待ちしてます。」
「ん?もうニュース聞いた?」
「うん。」
私の声のトーンの低さに、恭兄さまの声が柔らかくなる。
「大丈夫だよ。心配しなくていいから。」
……てことは、本当に恭兄さまが画策した?
「とにかく待ってる。相談もあるねん。」
「……着いたよ。」
窓の外を見ると、恭兄さまの車がすぐ前に停まっていた。



