翌日から、私は恭兄さまの車で登校した。
……まあ、裕福な家庭の子の多い学園なので、送迎は珍しいことではない。
知織ちゃんとの朝の待ち合わせはできなくなったが、帰りは一緒に車に乗り込み、送り届けることになった。
私達は安心して毎日図書室が閉まるまで受験勉強に勤しんだ。
内部進学の願書締切日に、私は担任に呼び出された。
「進路、決めたのか?」
今までまったく平気だったのに、私は男性教諭と二人きりになることが少し怖かった。
「はい。ふつうに受験しようと思います。」
「そうか。竹原の成績なら、指定校推薦もよりどりみどりだけど。」
私は首を振った。
「東大を目指します。」
教諭は、ため息をついた。
「大村の影響か?……まあ、二人ともこのまま頑張れば合格できそうだけど……」
一旦言葉を切って、真面目な顔で教諭は続けた。
「浪人はするなよ。滑り止めは確保すること。以上。」
……担任の本音だろうな、と、私は苦笑した。
「わかりました。4月から、ちゃんとどこかの大学に通えるように、頑張ります。」
担任にも告げ、いよいよ私は受験生モードに突入した。
もともとテレビでも、民放はほとんど見なかったけれど、知織ちゃんの恋人の一条さんが出る歌番組と、静稀さんの出る専門チャンネルだけは録画して見た。
それ以外の娯楽は全て断ち、勉強に勤しんだ。
街路樹が色づきはじめた頃、私の耳は違和感なく聞こえるようになった。
もう、車での送り迎えの必要もないのだが、結局、恭兄さまの気持ちに、私はずっと甘え続けた。
その日も、私は知織ちゃんと図書室にこもっていた。
トイレに出た知織ちゃんが、パタパタと走って帰ってきた。
「由未ちゃん!これっ!」
知織ちゃんは、雑誌ラックから今日の夕刊を持ってきた。
そこには、和也先輩の大学のサッカー部の暴行事件の見出しが出ていた。
私は、頭が真っ白になり、思わず椅子から立ち上がって、立ちくらみを起こして、また椅子に崩れ落ちた。
「由未ちゃんっ!」
知織ちゃんの声で、飛びかけた意識がすぐにしっかりした。
「……大丈夫。とりあえず、出よう。」
放課後の図書室には、ほとんど生徒がいないとはいえ、図書委員や職員が何人もいる。
私は平静を装って図書室を出た。
学校を出て、最寄りのコンビニで手に入る夕刊を全部購入すると、すぐそばのカフェに入った。
カウンター席の一番奥に座り、2人で新聞を貪り読んだ。
……まあ、裕福な家庭の子の多い学園なので、送迎は珍しいことではない。
知織ちゃんとの朝の待ち合わせはできなくなったが、帰りは一緒に車に乗り込み、送り届けることになった。
私達は安心して毎日図書室が閉まるまで受験勉強に勤しんだ。
内部進学の願書締切日に、私は担任に呼び出された。
「進路、決めたのか?」
今までまったく平気だったのに、私は男性教諭と二人きりになることが少し怖かった。
「はい。ふつうに受験しようと思います。」
「そうか。竹原の成績なら、指定校推薦もよりどりみどりだけど。」
私は首を振った。
「東大を目指します。」
教諭は、ため息をついた。
「大村の影響か?……まあ、二人ともこのまま頑張れば合格できそうだけど……」
一旦言葉を切って、真面目な顔で教諭は続けた。
「浪人はするなよ。滑り止めは確保すること。以上。」
……担任の本音だろうな、と、私は苦笑した。
「わかりました。4月から、ちゃんとどこかの大学に通えるように、頑張ります。」
担任にも告げ、いよいよ私は受験生モードに突入した。
もともとテレビでも、民放はほとんど見なかったけれど、知織ちゃんの恋人の一条さんが出る歌番組と、静稀さんの出る専門チャンネルだけは録画して見た。
それ以外の娯楽は全て断ち、勉強に勤しんだ。
街路樹が色づきはじめた頃、私の耳は違和感なく聞こえるようになった。
もう、車での送り迎えの必要もないのだが、結局、恭兄さまの気持ちに、私はずっと甘え続けた。
その日も、私は知織ちゃんと図書室にこもっていた。
トイレに出た知織ちゃんが、パタパタと走って帰ってきた。
「由未ちゃん!これっ!」
知織ちゃんは、雑誌ラックから今日の夕刊を持ってきた。
そこには、和也先輩の大学のサッカー部の暴行事件の見出しが出ていた。
私は、頭が真っ白になり、思わず椅子から立ち上がって、立ちくらみを起こして、また椅子に崩れ落ちた。
「由未ちゃんっ!」
知織ちゃんの声で、飛びかけた意識がすぐにしっかりした。
「……大丈夫。とりあえず、出よう。」
放課後の図書室には、ほとんど生徒がいないとはいえ、図書委員や職員が何人もいる。
私は平静を装って図書室を出た。
学校を出て、最寄りのコンビニで手に入る夕刊を全部購入すると、すぐそばのカフェに入った。
カウンター席の一番奥に座り、2人で新聞を貪り読んだ。



