「今何時?」
「んーと、1時かなぁ」
時計を見ると、1時を少し過ぎた辺り。
「ていうか、俺ら昼食ってねーじゃん」
お腹を押さえながら、思い出したように槇は言った。
「あっ、あたしお弁当作ってきたー」
「お、まじで? 食おー食おー」
槇は、むくっと起き上がって、あたしの隣へと来た。
あたしは鞄から、お弁当を取り出した。
「けど、旅行なのにお弁当って…」
少し呆れながらも、口に運ぶ槇。
「文句あるなら、食べなくてもいいんだよ?」
「いや、食べます! 俺、綾子のお弁当大好きだもん」
そう言われて、嬉しくないわけない。
あたしは槇にぴったりくっ付いて、お弁当を食べた。

