「帰んなって、頼むから」


つらそうな槇の声に、あたしの涙は止まった。


「俺だってな、綾子にかまいたいっつーの」

「えっ…」


槇の口から出た言葉。


「まじで好きなんだからな。
一緒にいたら、触りたくなるし、イチャイチャしたくなんだよ」


我慢してたのは、あたしだけじゃなかったんだ。


あたしを抱きしめる槇の腕を、そっと掴んだ。

すると、更に強く抱きしめてくれた。


「綾子、こっち向いて?」


槇に言われた通り、あたしは振り返った。


その瞬間、槇に引き寄せられ、唇が重なった。


「とりあえず勉強するぞ。
イチャイチャすんのはそれからな?」

「うん」


キスしたあとの槇の顔が、すごく優しかったから、

それだけであたしは、心がいっぱいになった。


《END》