「さっきから呼んでるのに、無視するんだもん」


少し拗ねたように、槇に言った。


「あのねー、俺は勉強してんのっ! 邪魔すんな」


…槇だって、あたしが勉強してるの邪魔したじゃん。

普段はやらないくせに、なんで今日だけやる気なのかが分からない。


「…何の勉強してんの?」


泣きそうなあたしは、小さな声で問いかけた。


「教育学概論」

「難しそうだね…」

「覚えるのが大変。
俺今マジでやばいんだよ。だから勉強しないと危ないの」


そう言って、勉強を再開する槇。

そんな槇を見つめながら、あたしは寂しくなった。


せっかく一緒にいるのに、槇がかまってくれないから。