結構余裕で1セット目を取って、2分のインターバル。


あたしはまっすぐ、その高江の男子の元へと向かった。

あたしとの距離が近付くにつれて、顔を歪める。


あたしは、彼の目の前に立つと、口を開いた。


「高江の人だよね? 何年?」

「はっ?」


同い年って知ってるけどさ、一応確認、ね?

顔を更に歪める彼。

そして、恐る恐る口を開く。


「に、二年だけど?」


うん。
やっぱり同い年だ。


「あたし、坂井綾子。
良かったら仲良くしようよ」


とりあえず、名前を名乗る。

そいつの眉間のしわは、未だ無くなることはない。

そのくせ、ぎこちなく頷く。


そんな姿が、少し可愛く見えた。


「やった。よろしくねー」


喜ぶあたし。

そりゃあ、浅海の恋に一歩近付けたんだもんね♪

嬉しくて当たり前。


だけどこの時、もしかしたら違う意味もあったのかも。