「梨元くんてさ、香波にだけはほんと優しい顔するよね」


話題はいつの間にか、
クリスマスから遼多の話へと変わっていった。


「そ、そうかな?」

「そうだよ。他の子の前ではあんまり笑わないんだよ。
それが香波の前では、笑顔しか見ないんだもん」


言われてみれば、そうかもしれない。

付き合う前の遼多は、いつもあたしを睨むように見ていた。

遼多の笑顔を見るようになったのは、彼女になってからだ。


「いいよね、愛されてて。
その愛あたしにも分けろっ」

「やーだよっ」


弥生に向かってべーっと舌を出しながら、
ポッキーをもう1本手に取った。

それを口に運びながら、遠くにいる遼多を盗み見た。


すると、遼多もこっちを見て視線が合った。

思わず手を振ったあたしに、遼多は優しく笑いかけてくれた。