三年が引退して少し経った頃、 「遼多! 矢島先生が呼んでたよ」 休み時間。 いきなり香波に呼ばれ、伝言を聞いた。 矢島先生とは、顧問の矢島秀史(ヤシマヒデシ)。 若い頃、全日本の大会で好成績を残したこともある、優秀な先生だ。 俺は矢島先生のいる教官室へと向かった。 すると、俺の少し後ろをついてくる香波。 「は? なんでお前、ついてきてんの?」 「だってあたしも呼ばれてるもん」 まさか……… そう思った俺の予感は、悲しいくらいに的中した。