そう言うと、槇は優しく笑った。

そして、


「綾子、大好き」


槇に引き寄せられ、ふわっと抱きしめられた。


「あたしも、だーい好き」


笑いながら、槇に抱きついた。


でも、本当は内心ドキドキ。

さっきの槇の言葉が、頭から離れなくて。

もっと槇を好きになった。


「失礼します……きゃっ、すいませっ……」


その時、入ってきた若い仲居さん。

あたしたちを見るなり、赤い顔で扉を閉めた。


あたしと槇は見つめ合い、笑いながら離れた。


槇が扉を開けると、未だに謝りながら、さっきの仲居さんを含めた二人の仲居さんが、

ご飯を持って入ってきた。


「こちら、夕食になります。7時頃下げに参りますので」