「まーき、起きて」
2、3回体を揺すると、ゆっくりと目があいた。
「んー、綾子…?」
寝ぼけまなこを擦りながら、あたしを見る槇。
いつものかっこ良い槇と違い、子供みたいで可愛かった。
「もうすぐご飯だよー」
そう言って顔を覗き込むと、一瞬にして後頭部に回った手。
「きゃっ」
そのまま顔を引き寄せられ、強く唇が重なった。
息をする間も与えないほど、深く求められる。
少しの間重なり合わせて、離れた。
「ま、き?」
荒れた呼吸で、槇に呼びかける。
「ごめん、綾子…
我慢できなかった」
申し訳なさそうに言う槇が、少し小さく見えた。
あたしは、ふるふると首を左右に振った。
「びっくりしたけど…でも、槇だからいい」

