ぬいぐるみ少女の呪い

やっと学校が終わった。

教室を飛び出すように足早に出て、校門へ向かう。

下校中の帰り道。

熊のぬいぐるみが落ちていた。

腕が片方もげて、なくなっている。

誰のだろう…。

なんでこんなところに落ちてるんだろ?

『あ、また会ったね!!お姉ちゃん♪』

後ろから嬉しそうな声が聞こえて、振り返る。

そこには、昨日と色違いの、同じドレスのような服をきた梨杏ちゃんが、今日は猫のぬいぐるみを持って、笑顔で立っていた。

「あ……。梨杏ちゃん…だよね?」

『うん!!嬉しい!!名前覚えててくれたんだね♪そういえば、お姉ちゃんのお名前はなんていうの?』

私の近くに駆け寄り、キラキラとした大きな瞳で私を見る。

「あたしは杏っていうの」

あたしは膝を曲げて、中腰になる。

『杏ちゃん?』

「うん」

『杏ちゃん…。杏ちゃん、ぬいぐるみは殴ってない?』

突然の話の振りに、聞き返してしまった。

「え?う、うん。殴ってないよ」

『よかったぁ!!ちゃーんと約束、守ってくれてるんだね♪』

予定だけど…ね。

「ね、ねぇ、梨杏ちゃん。この約束って、いつまで守ればいいの?」

『ずっとだよ?』

「……ずっと…?」

『そう!だって、この約束って、果たすものじゃなくて、守るものだから!一生守るものだよ!!』

笑顔でそういう梨杏ちゃんの言葉に、少し戸惑う。

この先、ずっとなんて我慢できない…。

もう限界にも近いし……。

「あ、あたし、そろそろ帰らなきゃ。今日は早めに帰らなきゃいけないの」

『そっかぁ。遅れちゃったらごめんね!!』

「ううん。大丈夫だよ。それじゃ、バイバイ!」

『バイバーイ!!』

あたしはその場から走り出した。

一刻も早く、あの子のもとから去って、部屋に戻ってストレス発散しなきゃ……!!

****

「ただいま!!」

母「お帰りなさい。今日も学校、楽しかった?」

お母さんの言葉に、胸がチクリと痛む。

「……うん!!楽しいよ!!今日はいいこといっぱいありすぎて、何があったか忘れちゃうくらい!!」

母「あらあら。そんなにいいことあったの?参観日が楽しみね」

その言葉に固まる。

そうだ。もうすぐ参観日…。

不安で胸が苦しい。

「そうだね。楽しみにしててね!!」

あたしは笑顔を見せて、自分の部屋へ駆け込む。

「っ~~!!」

直ぐ様ぬいぐるみを手に取り、床に叩きつける。

「っくそ…!!くそっくそっくそっくそっ!!!」

何度も何度も何度も踏みつける。

「くそっ!!」

雑につかみあげ、壁に思いきり投げつける。

「……はぁ…はぁ…はぁ……っくそ…死ねよあいつら…っ!」

ベッドに横になる。

疲れたのか、そのままあたしは眠ってしまった。

****

『みーちゃった~みーちゃった~♪フフフ、杏お姉ちゃんってば、もう約束破っちゃって。いけない子だなぁ~』

ねー?と、熊さんに話しかける。

当然返事は帰ってこない。

それでも、ぬいぐるみの気持ちを一番に理解してるから分かる。

熊さんも怒ってる。

羊さんも、悲しんで、怒ってる。

私が力をかしてあげる。

この子を呪っちゃえ♪

フフフ…♪

どーんな悲劇になーるのっかな~♪♪

私はクルクルと回った。

****