「このっ、このっ、このっっ!!」
ぬいぐるみを蹴り飛ばし殴る。
イラつく、ムカつく、あーっ!ウザい!!
あんなやつ、死ねばいいのに…!
あたしは幸崎 杏(こうさき あんず)。
あたしは学校でさいじめられている。
親にも先生にも相談できない。
だから、ぬいぐるみでストレスを発散させる。
ぬいぐるみを蹴ったり殴ったりしてると、気持ちがスカッとする。
「なんであたしばっかり…!なんであたしがいじめられなきゃいないんだよっ!!」
羊のぬいぐるみを床に叩きつける。
「はぁ…はぁ……。はぁ……」
あー、スッキリ。
ほんと最高!!
母「杏、ご飯よー」
「はぁーい!」
部屋を出て、下へ降りる。
「いただきます!!」
笑顔で手を合わせる。
今日は一段と殴ったから、結構お腹減ってるんだよねー。
その分、スッキリしたし。
ぬいぐるみ相手だと、やり返してこないし、反応しないから遣り甲斐がある。
「ごちそうさまでした!!」
食器を片付け、部屋に戻る。
ドアノブを捻って、部屋に入った瞬間、目を見開いた。
「……え…?」
目の前には、熊のぬいぐるみを抱き締め、うつむいた小さな女の子。
てか、どうやって入ったの…?
女の子の後ろの窓が開いている。
あそこから入った…?
んなわけないよね、こんな小さな子が…。
『……始めましてっ!私は梨杏っていいます!!』
いきなり顔をあげ、笑顔で自己紹介をする女の子。
「梨杏…ちゃん?こんな夜に出歩いちゃ危ないよ?それに、人の家に勝手にはいるのは良くないし…」
『お姉ちゃんがそれを言うの?』
「……え?」
驚いて聞き返す。
梨杏ちゃんは、目を細め、睨み付けるような瞳であたしを見つめた。
なにこの子…。怖い……。
『あのね、梨杏ね、見てたの。お姉ちゃんが、羊さんのぬいぐるみ、殴ったり蹴ったりしてるとこ』
梨杏ちゃんは、困ったような顔をする。
え……?見てたって……え?
この部屋には、あたししかいなかったのに…
『梨杏、ぬいぐるみが大好きなの。だから、乱暴に扱わないでほしいの。お願い!』
これでもし、「分かった」何て言ったら、ぬいぐるみを殴っていたことを認めることになる。
かといって、断ったら、この子にも悪い気がするし…。
仕方ない。
ここは嘘でも承知しておこう。
「わ、分かった…。もう殴ったりしないね?」
『約束だよ!!破ったら、ぬいぐるみが怒っちゃうから!』
梨杏ちゃんは、あたしの手を引き寄せると、自分の小さな小指とあたしの小指を繋ぎ、約束をした。
『嘘ついたら針千本のーます。指切った!!』
パッと、指が離れる。
『じゃあ、約束だよ!!絶対だからね!!…もし破ったら、その時は覚悟しててね!!お姉ちゃん♪』
梨杏ちゃんは満面の笑顔でそう言った。
その瞬間、ブワァッと、強い風が吹いて、目を閉じる。
次に目を開けたときには、もう梨杏ちゃんはいなかった。
****
学校へいつも通りに登校する。
嫌だなぁ…。
にしても昨日の子、ぬいぐるみが怒る、なんて、幼稚な発想。
ぬいぐるみは動かないし反応しないじゃん。
所詮は子供の考えることか。
昨日のことを思い出していると、いつの間にやら教室の前まで来ていた。
深呼吸を数回して、扉を開ける。
ざわめいていた教室がしん、と静まり返る。
あたしは、自分の席に向かう。
途中、ヒソヒソと話し声が聞こえる。
机には、無数の落書き。
……あ、昨日持ってかえるの忘れた教科書、無くなってる…。
探すの面倒なのに…。
クスクスと笑い声が聞こえる。
ぬいぐるみを殴らないで生きていける訳がない。
ぬいぐるみを殴るからこそ、あたしの精神は安定していると言うのに。
チャイムが鳴って、先生が来る。
皆が席につき、授業が始まった。
****
ぬいぐるみを蹴り飛ばし殴る。
イラつく、ムカつく、あーっ!ウザい!!
あんなやつ、死ねばいいのに…!
あたしは幸崎 杏(こうさき あんず)。
あたしは学校でさいじめられている。
親にも先生にも相談できない。
だから、ぬいぐるみでストレスを発散させる。
ぬいぐるみを蹴ったり殴ったりしてると、気持ちがスカッとする。
「なんであたしばっかり…!なんであたしがいじめられなきゃいないんだよっ!!」
羊のぬいぐるみを床に叩きつける。
「はぁ…はぁ……。はぁ……」
あー、スッキリ。
ほんと最高!!
母「杏、ご飯よー」
「はぁーい!」
部屋を出て、下へ降りる。
「いただきます!!」
笑顔で手を合わせる。
今日は一段と殴ったから、結構お腹減ってるんだよねー。
その分、スッキリしたし。
ぬいぐるみ相手だと、やり返してこないし、反応しないから遣り甲斐がある。
「ごちそうさまでした!!」
食器を片付け、部屋に戻る。
ドアノブを捻って、部屋に入った瞬間、目を見開いた。
「……え…?」
目の前には、熊のぬいぐるみを抱き締め、うつむいた小さな女の子。
てか、どうやって入ったの…?
女の子の後ろの窓が開いている。
あそこから入った…?
んなわけないよね、こんな小さな子が…。
『……始めましてっ!私は梨杏っていいます!!』
いきなり顔をあげ、笑顔で自己紹介をする女の子。
「梨杏…ちゃん?こんな夜に出歩いちゃ危ないよ?それに、人の家に勝手にはいるのは良くないし…」
『お姉ちゃんがそれを言うの?』
「……え?」
驚いて聞き返す。
梨杏ちゃんは、目を細め、睨み付けるような瞳であたしを見つめた。
なにこの子…。怖い……。
『あのね、梨杏ね、見てたの。お姉ちゃんが、羊さんのぬいぐるみ、殴ったり蹴ったりしてるとこ』
梨杏ちゃんは、困ったような顔をする。
え……?見てたって……え?
この部屋には、あたししかいなかったのに…
『梨杏、ぬいぐるみが大好きなの。だから、乱暴に扱わないでほしいの。お願い!』
これでもし、「分かった」何て言ったら、ぬいぐるみを殴っていたことを認めることになる。
かといって、断ったら、この子にも悪い気がするし…。
仕方ない。
ここは嘘でも承知しておこう。
「わ、分かった…。もう殴ったりしないね?」
『約束だよ!!破ったら、ぬいぐるみが怒っちゃうから!』
梨杏ちゃんは、あたしの手を引き寄せると、自分の小さな小指とあたしの小指を繋ぎ、約束をした。
『嘘ついたら針千本のーます。指切った!!』
パッと、指が離れる。
『じゃあ、約束だよ!!絶対だからね!!…もし破ったら、その時は覚悟しててね!!お姉ちゃん♪』
梨杏ちゃんは満面の笑顔でそう言った。
その瞬間、ブワァッと、強い風が吹いて、目を閉じる。
次に目を開けたときには、もう梨杏ちゃんはいなかった。
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学校へいつも通りに登校する。
嫌だなぁ…。
にしても昨日の子、ぬいぐるみが怒る、なんて、幼稚な発想。
ぬいぐるみは動かないし反応しないじゃん。
所詮は子供の考えることか。
昨日のことを思い出していると、いつの間にやら教室の前まで来ていた。
深呼吸を数回して、扉を開ける。
ざわめいていた教室がしん、と静まり返る。
あたしは、自分の席に向かう。
途中、ヒソヒソと話し声が聞こえる。
机には、無数の落書き。
……あ、昨日持ってかえるの忘れた教科書、無くなってる…。
探すの面倒なのに…。
クスクスと笑い声が聞こえる。
ぬいぐるみを殴らないで生きていける訳がない。
ぬいぐるみを殴るからこそ、あたしの精神は安定していると言うのに。
チャイムが鳴って、先生が来る。
皆が席につき、授業が始まった。
****

