「というかあたしは何をしているんだろう。」



もう帰ってもいいだろうか。

帳合作業が終わったのだからあたしはもう用済みではないのか。





「よし。あたし帰りますね。みなさんお疲れさまでした。」



「唐突に冷めたな。まぁ牧村は生徒会に入ったわけではないし、もう帰ってもいいぞ。」



「ダメって言われても帰りますから。じゃ、失礼しました。」




ひょろ腹黒副会長に何か言われる前に帰ったれと思い、荷物をつかむとそのまま一直線に廊下につながるドアへと向かう。



「昇降口まで送るよ。」


廊下に出て一息つこうと思ったとたんにこの声。

いらない人がついてきた。




「え、馬鹿にしてんすか?多忙な副会長は仕事してたらいいと思いますけど。

というか話しかけてほしくないからさっさと出てきたのに追いかけてきたら意味ないじゃないすか。空気読んでくださいよ。

あと勝手に付き合ってるって公言するのやめてくれません?付き合う気ありませんから。」




「さっきからなんでオレにばっかりそんな辛辣なのかなぁ。オレ普通に良い彼氏になれると思うけど?」



「好きでもない人のこと彼氏とか思えるわけないじゃないですか。ならあたしマリリンに彼氏になってもらいます。」



「へぇ。じゃあ江橋のことは好きなんだ?」



「あんたの数百倍は好きですよ。」



「と言うことはオレを好きな気持ちも0じゃないってことだ。0はいくら倍にしようと0だしね。」



「……知ってます?そういうの揚げ足取りって言うんすよ。性格悪いなー」



「ふふ 知ってる。ほら早く行こう。」




自然に手を握られて鳥肌が立った。


びっくり。と、あたしが鳥肌を全員起立させていると、マイあいぽんが軽快に着信を知らせてきた。




「あ、マリリンだ。出てもいいすか?」



「どうぞ。このタイミングで電話だなんて、本当に君たちが付き合ってるみたいで妬けちゃうね。」



「勝手に焼け落ちて消し炭になっててください。…マリリンもしもしー愛しのくるみちゃんですよー」