「風紀ですか。」


「うちのクラスのやつだから確かだ。」






語られた話はこうだ。


一週間ほど前にかっちゃん先輩が本屋に行ったところ、同じクラスの風紀委員の人が漫画の単行本を万引きしようとしていたらしい。


見かねて勝っちゃん先輩が声をかけ、万引きを止めさせようとした。



ばれてしまった風紀委員は何を思ったのかその場で騒ぎだし、かっちゃん先輩を万引き犯にでっち上げた。



店員が来て初犯ということで厳重注意で済んだらしいが、店員は真面目な風貌の風紀委員の話しか信じなかったそうだ。



その後、万引きをしようとしていた風紀委員のクラスメイトはばらされることを恐れてか、生徒会役員である沼田先輩にかっちゃん先輩が万引きをしようとしていたと嘘の報告をし、自分の身を守ろうとした。



そしてあの朝、沼田先輩がかっちゃん先輩たちにその話を突き付けに行った。



誤解だと、濡れ衣だと訴えても聞く耳をもたない。





「あいつ、もしオレが言っていることが真実だとしても、風紀委員がそんなことをしたという事実はこっちでなんとかするから問題ないとか言っててさ。

ついカッとなってチャリ蹴り倒しちゃったんだよなー。


そしたら牧村が出てきてどうすっか焦ってたらなんか伸されるし。情けない写真までとられるし。もう最悪。」




「オレらもとばっちり食らったしね。」




「女の子に伸されることになるとは思ってなかったね。」



「くるみ、ちゃんと話し聞いてからケンカしろよ。」







「………大変申し訳ありませんでした。」



誠心誠意土下座させていただきました。