完全に当初の目的からそれてしまったことに気づいたのはかっちゃん先輩が大きなため息を吐いたからだ。



「かっちゃん先輩、この写真ですよね。」



カメラロールの中から発見した3人の写真を見せると、嫌そうに顏をゆがめた。

あたしがぶん殴ったあとの写真だもんな。




「はい、削除。」



3人の目の前で写真を削除しておしまい。



「これでオッケーですか?」


「お、おう。問題ない。」


「じゃ、しないとは思いますが先輩達もあたしの秘密ばらしちゃ嫌ですからねー。もしばらしたらマリリンが出動しまよ。」



「いやそこは自分で行けよ。その方が絶対効果あるだろ。」


「だってマリリンのデコピン超痛いじゃん。」



「お前ばらされた代償がデコピンでいいのかよ。」


「デコピン位ならオレらばらしちゃうかもよ?」



「大丈夫です。マリリンのデコピンまじで悶絶しますから。気になるなら今一発食らいます?」




マリリンの本気デコピンは初めて食らったときに本当に悶絶した。


衝撃でおでこが吹っ飛んだと思うくらいの激痛だった。




「……遠慮しておく。」


「そうですか。ではそういうことですので。」



それだけ言ってマリリンと一緒に教室に戻ろうとすると仁先輩に呼び止められた。



「くるみちゃん、この間オレたちが囲んでた沼田ってやつなんだけど、あいつには気を付けたほうがいいかも。」


「…あの弱そうな先輩ですか。なんでです?」


「囲んでたオレが言うのもなんだけど、あいつ優等生っぽい面して結構裏でいろいろやってんだわ。もしかしたらくるみちゃんに興味持って接触してくるかもしれない。」


「そうなんですか。でもあたし基本的に胡散臭い人には近づかないんで大丈夫です。忠告ありがとうございます。」