ちょっと来いと言われ、連れてこられた先は運動部の部室が並ぶ一角だった。
その中の一つ、ドアに何も書いてない部室に入れられた。
今は使っていない部室なのだろう。
部屋に並ぶロッカー、折りたたまれたパイプ椅子。机がいくつか。あとは何もない。
知らない顔の男子生徒、たぶん先輩。
そして知らない顔の女子生徒、たぶん先輩。
さらにその後ろには知らない顔のオンパレード。一人を除いてたぶんみんな先輩。
なぜたぶんなのかというと、学年の目印であるネクタイをみんなしてないから。
みんなどことなくニヤニヤしているのはあたしの気のせいだろうか。
一人だけニヤニヤじゃなくてニコニコしてるけど。
男が6人、女は4人。前に出ている一人ずつが一応リーダーと考えておこう。
マリリン、海先輩、副会長に委員長、たかちゃん、…噂では銀次郎にもファンがいるとか。
最近派手に動きすぎたから、そろそろこんなこともあろうかと思っていたけど、まさか今日だとは。
今日は3年を叩くって言ってたのに、邪魔したらそれこそ海先輩と葛西先輩に怒られるだろうな。
あたしと銀次郎はお留守番ってことは、もしかすると壮志さん関係の話もあるのかなと思ってたんだけど…。
……これ、大人しくついてくるべきじゃなかったんじゃないか?!
流石にそんな大事な日にホイホイ捕まってる場合じゃなかった!
どうやってここから逃げ出そうか。
いつもなら、人目につかない密室に連れてきてもらったんだから、大いに暴れて失神してもらえばなんの問題もないのだが、今回は女の先輩たちもいる。
この状況で暴れるのは得策ではないことくらい、さすがのくるみさんでも分かります。
でもまぁ、なにを考えているのか分からないけど、一人隠密活動していた人がなぜかこの場にいるから特に問題はないんだろう。
いや、隠密部隊から海先輩たちに連絡がいくと、それはそれで後から怒られることになるから嫌だな…。
やっぱり、さっさとこの場を切り抜けて、隠密部隊の口止めをして、何事もなかったかのように教室に帰るのが一番だな。

