マリリンside



目の前で机に突っ伏して寝息を立てるのは、高校から仲良くなった牧村くるみ。


実は中学の時に一度話したことがあるのだが、こいつは果たして覚えているだろうか。




…覚えてないだろうな。




「あれま、本当に寝ちゃった。」


「どうせ昨日アニメ見てて寝るの遅かったとか、そんなんだから大丈夫だろ。」


「江橋はくるみと仲良しなのな。」


「まぁそれなりにな。」


「正直オレらのこと気に食わないとか思ってる?」





「…まぁそれなりにな。」






質問を繰り返してくるのは野間沢文彦。


くるみが言ってる銀次郎ってのはくるみの親戚の家だかにいるゴールデンレトリバーのことだろう。



確かに犬っぽいし、見た目もゴールデンレトリバーっぽい。

でも頭なでるのはちょっとやりすぎな。




「お前らって付き合ってんの?」


「…いや、付き合ってるわけじゃねぇ。」


「マジ?それで?」



こっちはハスキーって言われてたな。
シベリアンハスキーか。




「それでとか言うな。俺の立派な一方通行だ。」


「うわー江橋って見た目によらず健気なのな。」


「なんでくるみがいいの?」


「馬鹿だから見てておもしれーだろ。」




「「それは確かに。」」






高校に入って、俺の顔見て『マリリンモンロー』と叫んだコイツ。


なんのことかと思えば、黒子がマリリンモンローだとかなんとか。


意味が分からなかったが、それからなんとなくつるむようになってしまった。


よくよく見れば、中学のときに同級生にカツア…お金を貸していただいていたのを咎めてきた奴だった。


女のくせに生意気だと思ってなめてかかったら痛い目をみた。

的確に急所を狙ってくるあたり容赦がない。



「お前ら、くるみになんかしたら潰すかんな。」




こいつで遊んでいいのは俺だけだなんて恥ずかしいことは言わないが、こいつが頼ってくるのは俺だけであってほしい。

…なんてな。




マリリンside おわり