自転車の倒れる音。
そして数名の怒鳴り声。



最近のあたしの日常には聞き慣れない音がして、気にならないほど大人ではない。


非日常なものに関心をもってしまうのは人間の性というものだ。



好奇心にしたがって音の根源に近づいていくと、校舎に沿うようにつくられている駐輪場の奥、校舎の影になっているところに、その人たちはいた。



倒れた自転車の横で突っ立っている1人の男子生徒を囲む3人の男子生徒。




朝っぱらからご苦労様と言ってあげたいが、それによって巻き込まれるのはごめんなさいだ。



周りに誰か彼を助けられそうな人はいないだろうかと見回すも、もう予鈴も鳴り終わった駐輪場。

これから誰か来るとしても、助けは期待できないかもしれない。




そう思った瞬間に目に入ったのは、裏門をくぐって気だるげに歩いている4人の男子生徒。

なんてナイスタイミング。



しかも後ろにいる2人はたしか同じ学年だったはずだ。