銀次郎とマイエンジェルと話していると、廊下が騒がしくなった。



「たかちゃん、やめておけって!」

「そうだぞ!あいつ怒らしたら本当にまずいんだから!」

「うるさい止めるな!アニキが見つかったのにお傍にいないなんて、そんな話があってはいけないだろ!」



あー…、ね。うん。把握した。


「ちょいと姿をくらましたいから協力してくれないかい二人とも。」

「おう。」

「なになに?面白い話?」


「銀次郎にはあとで説明するから、廊下のうるさい三人組を足止めしてくれない?」


「なるほど、面白い話なんだね!オッケー任せろ!」



コソコソっと一瞬で打ち合わせをし、銀次郎は自然な足取りで廊下へ。


あたしとマリリンは銀次郎が教室からでた2秒後に反対の扉へ。

そしてあたしはマリリンの陰で隠れるようそっと教室から脱出した。



後ろのドアの前では銀次郎が3人に絡んでいる。



「先輩方、1年教室になんのご用ですかー?みんなが怖がってますよー。喧嘩っすか?カチコミっすか?殴り込みっすか?道場破りっすか?」


絡み方は相当適当だが、時間が稼げればそれでいいとしよう。


「あーお前は一年の野間沢だな。このクラスだったか?」

「オトモダチがいるんで遊びに来てただけっすよ。」


「そうか、ここに牧村くるみがいるだろ。呼んでくれ。」


「え、先輩みたいな人が、年下の女の子に用事ですか?!まままままさか…告白?!!」



「は、はぁ?!ちっげぇし!オレが、告るとかああ、ありえねぇし!!ちょっと用事があるだけだし!」



「えーそのどもり具合、あーやーしーいー!今呼んであげますからね!ドキドキしながら待っててくださいね!」



「ちょ、ちょっと待て!ほんとにちげぇから!告るとか、そんな!アニキに対して失礼っていうか!ほんとに、ちげぇんだからなぁぁぁー!」


「「たかちゃーーん!」」





銀次郎におちょくられるだけおちょくられたたかちゃんは、顔を真っ赤にして走り去っていった。



ついでに、後ろでニヤニヤしながら事の顛末を見守っていた刈り上げ先輩とつんつん先輩もニヤニヤしながらたかちゃんの後を追って走って行ってしまった。




「あれまー行っちゃったー。」