「お前が話さないなら向こうに聞いてくるわ。」
そう言って立ち上がったマリリンは、あたしの顔を見もせずに廊下へと向かってしまう。
向こうって?
副会長?
それはダメだ!
あの腹黒はきっとマリリンに話してしまう。
「マリリン!ちょっと待って!」
あたしも立ち上がってマリリンに声を掛けるも止まってくれない。
無視された。切ない。
「待ってったら!」
マリリンに知られたくないから嘘をついたのに、結局知られてしまっては意味がなくなってしまう。
追いかけてその腕を掴む。
それでもマリリンはあたしの方を見てはくれない。
「止まってよ!お願いだから!」
こうなったら実力行使だと、前に回り込んで通せんぼする。
それでも前に進もうとするマリリン。
通せんぼするあたし。
フェイントをかけて横を抜こうとするマリリン。
ディフェンスするあたし。
やっと目が合った。
「マリリン、行かないで。」
「…お前が話してくれないからだろ。」
マリリンが右に動く、これはフェイントだ。
「だって知られたくないことなんだもの。」
釣られずしっかり左をおさえる。
「そんなに大事な内容なの?」
また右。
「大事というか、最悪的な。」
そう簡単に釣られてやらん。
「…もっと聞きたくなったんですけど。」
今度は左。
「教えられません。」
「じゃあやっぱりあの腹黒に聞きに行くしかねぇだろ。」
右からの左。
「それは困る。」
「なんで。」
また左。
「なんでも。」
「なんでもは理由になりませんー。」
視線は右、でも左。
「だって言いたくないんだもん。」
「お前らさ、さっきから堂々巡りなの気付いてる?
あとお前らのフェイントの掛け合いがすげぇって観客が騒いでんぞ。
廊下の真ん中で何やってんだよ。」
いつの間にか現れた海先輩に頭をたたかれた。痛いです悪魔さん。

