「…なんのつもりですか?」



「いや、結構簡単に引っ張り込めるものだなと思って。」



「自分でさっき言ったじゃないすか、男と女では根本的な力の差があるって。」



「まぁそうなんだけどね。でも、これでわかったでしょ?」





資料室の壁に押し付けられ、副会長に囲われる。

つかまれた手首は痛いし、押さえつけられる力も強い。


自分でもわかってる。

単純な力の押し合いになったらあたしは男には敵わない。



あたしは別に格闘技をするために鍛えているわけでもなければ、なにかトレーニングをして体を作っているわけでもない。



ただ単に小さいときから自己流で海先輩と一緒に喧嘩を数多くこなしてきただけだ。



そんな一般人に毛の生えたようなあたしが男子の力に敵うはずがない。





「で、副会長はこんなひ弱な女の子を資料室に連れ込んで何をする気なんですかね?」



「そりゃ、好きな女の子と密室ですることなんて一つでしょ。」



「あーやだやだ。おまわりさーん。ここに悪い男がいますよー。」



「ちょ、ここまでしてもふざけるの?ちょっとはオレにドキッとしたりしないの?」



「ドキッとさせたいんですか?」



「そりゃあね。」



「ふふ 無理っすよ。前にも言いましたけど、あたしそう簡単に揺らがないんで。」



「そういわれると意地でも揺らがせたくなるのが男ってもんだよ。」







そう言ってあたしの唇に自分の唇を重ねてきた副会長に、問答無用で禁術をお見舞いした。