「あ、あの、すみません。
今日のところはいったん退いてもらってもいいですか?」
風紀くんにそんなことを言われるが、別にあたしが風紀室に乗り込んできたわけではないと思うんだが。
あくまで風紀くんが先輩たちを連行するのにあたしが被害者としてついて来ただけだ。
「むしろ帰っていいんですか?」
「なんか、あなたを見ていたら先輩たちの言っていることが本当のことのような気がしてきたので、もういいです。
先輩たちもすみませんでした。
ぼくが加害者と決めつけたばかりに、いやな気持ちにさせてしまいましたね。」
そう言って、先輩たちに頭を下げる風紀くん。
以前暴力を受けた相手に、確かに自分に非があったとは言え、ここまで潔く謝れるとは。
ただの平凡風紀くんだと思っていたが、認識を改めなければいかんな。
「いや、オレらもこの子に絡んだのは確かだしな。
それに、この間のことも悪かったよ。
あの時ヒーロー部のやつらに止められなかったら、オレたち、お前にひどいことしてたと思うし。ほんと、悪かった。」
「ごめんな。もう悪さはしないからさ、オレたちの言葉も信じてくれよな。」
風紀くんと先輩たちで謝り合戦が始まった。
人間とはなんとも不思議な生き物で、敵意にはそれ相応の敵意を返す。
そしてそれと同様に素直な誠意には素直な気持ちを返す。
「それじゃ、オレたちは教室に帰るわ。
今日は委員長の珍しい姿も見れて楽しかったよ。」
折角穏やかな雰囲気だったのに、つんつん先輩の一言で台無しだよ。
「今日見たことは忘れろ。」
デスクの裏からそんなこと言っても威厳もなにもないっすよいいんちょ。

